吉本伊信が創始した心理療法です。
自分の中にある経験を見つめ直すことを体系化組織化した心理療法で、自己治療的な色彩が強いといえます。
浄土真宗の行法「見調べ」から発達しました。見調べとは断眠、断水、断食状態で、自己の罪悪感や人間の無常をとい続ける求道者に行われる難行です。
治療法
内観療法の方法は大きく分けて集中内観と日常内観があります。
集中内観
研修所において1週間ほどの合宿形式をとります。
早朝から1日15時間に渡って行います。
屏風などで遮られた空間に座って、静かに自分の過去と経験について内観します。
両親、配偶者など重要な人物との関係について、3つのテーマに沿って年齢順に具体的に思い出していきます。その3つとは、
- 世話になったこと
- して返したこと
- 迷惑をかけたこと
です。
面接者のすることは、1~2時間ごとに訪れ3~5分で報告してもらうことです。この際、面接者は自分の意見を押し付けたりしません。また、テーマ通りに内観しているかチェックします。抽象的なときには「具体的には?」と質問します。
1日約8回の面接ときにもさまざまな洞察や治療体験が起こります。
その例として、
- 多くの世話を受けた自分の姿がよみがえる
- して返すことの少ない自分に驚く
- 多くの迷惑をかけてきた自分を発見する
があります。
その結果、基本的信頼や安定感を回復、事実にそった自己像や他者像を再構築、他者への責任転嫁をやめて自己の責任を認めて謝罪、人生に対して意欲的になるなど愛情を再体験して他者への恨みや敵意が解消します。
日常内観
集中内観終了後などに、引き続き日常の中で内観の時間をつけるなど、さまざまな方法があります。
その方法の例として、
- 日記をつける
- 日常生活の中で規則的に内観する時間をつくる
があります。
常日頃から内観による客観と感謝の力、日常のとらわれかたの防止の脱却を目的とします。
適応対象
内観療法の適応対象の例として、以下の症状が挙げられます。
- 人間関係の不和
- 非行
- 不登校
- 神経症
- うつ状態
- 心身症