臨床動作法 (Clinical Dohsa-Hou)

 成瀬悟策によって考案された心理療法です。
 動作を主たる道具とする心理臨床活動です
 援助する場をセッション場面とした場合の目的は、治療セッションにおける動作体験を通して、クライエントの日常の生活体験より望ましい変化を図ることにあります。

動作法の分類

 動作法は以下のように分類されます。

臨床動作法

  • 動作訓練法(障害動作法)
  • 教育動作法
  • スポーツ動作法
  • 健康動作法
  • 高齢者動作法
  • 動作療法(治療動作法)

実験動作法

歴史

1960年代

 脳性麻痺の子どもたちに催眠を用いて手を挙げることができたという事実から出発しました。やがて催眠にかけなくとも筋の弛緩によって関節を動かせることが見出だされます。そして、動作訓練が、成瀬悟策を中心に開発されます。動作訓練は、不自由を克服し、意図通りの身体運動をするための努力の仕方を身につけるための方法です。

1970年代

 自閉症児や多動児などの行動変容への大きな効果が明らかになります。
 また、動作訓練と動作法という言葉の区別がなされるようになります。動作訓練は不自由な動作の改善を目的としたもので、動作法は障害児・一般者についての行動の変容を目的としたものをさすようになりました。

1980年代

 統合失調症や神経症などにも応用されるようになり、この分野では動作療法と呼ばれることがあります。

「動作」という考え方

 動作法でいう「動作」とは単に体を動かすという意味の生理学的・物理的な身体の動きだけではありません。自分の意思通りの身体運動を実現しようとする努力する主体の心理的活動の過程を含みます。この過程は「意図―努力―身体運動」という形で図式化されます。
 動作法で焦点に当てられるものは、動かそうとし、それに伴って起きる心身のさまざまな感じや意識状態、イメージなどです。われわれが行っている動作を支え、それとともに変化していく心理的活動に焦点がおかれるのです。

動作法の訓練内容

 訓練はクライエントの状態に合わせて、適宜動作課題を設定ながら行われます。その課題を治療者とともに解決していきます。
 動作法は3つの訓練からなっています。

弛緩動作訓練

 身体の各部位のまとまりごとに不当に強まった筋緊張を弛緩させる練習

単位動作訓練

 次にそれぞれの動作について不当な緊張を発生させないようにしながら動かす訓練

基本動作訓練

 さらに各の身体部位の総合したまとまりのある動き(書字・歩行など)を訓練

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