ゲシュタルト療法 (gestalt therapy)

 ドイツの精神分析家であるF.S.パールズによって創始されました。
「ゲシュタルト」とは「全体・統合・形態」を表すドイツ語です。
「今、ここ」での体験を最大限に重視し、ゲシュタルトの完成を図る心理療法です。図地反転がスムーズになり、ホメオスタシスの均衡が回復し、全体性が取り戻されるとされます。

ゲシュタルト療法での人間観

 ゲシュタルト療法では、人間を、心身においてホメオスタティックな自己調節機能をもつ全体的存在ととらえます。
 ゲシュタルト療法での目標は、クライエント内部にあるさまざまな欲求やその矛盾の統合です。これにより、成熟した人格と現実世界での自己実現へ移行していきます。
 人間の全体が妨害されるのは理由には、未完結の経験が多くなりすぎる外界や内界(欲求や感情など)に対するコンタクトと回避がうまく機能せずなりからとされます。

ゲシュタルト療法の実践

 実践に際して、原則的に未来や過去への言及はしません。現在・現実を体験し受け入れていくことが、念頭に置かれます。
 各々のカウンセラーによる創造的なもの、とくにワークショップ形式での体験が基本です。

具体的な技法

 ゲシュタルト療法の具体的な技法として、「私は…ができない」という文章を作り、そこで「私は…をしない」に書き換えてみることがあげられます。これにより、受け身の思い込みや、自身の責任転嫁に気づくことができます。
 また、「チェア・テクニック(エンプティ・チェア)」と呼ばれる技法があります。これは、脚の椅子に向かい合わせにクライエントが座り、反対の椅子には「もう一人の自分」や「問題になっている他人」などを想定し、不満や疑問を語ります。クライエントは、語り終えた後、反対の椅子にうつり「そこに座っている相手」として彼らの言い分を演じ語ります。この架空の対話の繰り返しの中から、クライエント自身の言葉によってそれまでの意識していなかった問題点が明確に具体化していくという、気づきがもたらされます。

治療者に求められる資質

 ゲシュタルト療法を行う治療者には例えば以下の資質が求められます。

  • 自分の枠組みや固定観念にとらわれない
  • クライエントのプロセスをあるがままに観ることができる

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