コミュニティ心理学 (community psychology)

 コミュニティで生活を営む人に心理的な援助を行うための理論・アプローチです。

 場の共有を前提とする地理的コミュニティだけが、コミュニティ心理学におけるコミュニティではありません。価値や信念、関心などを共有する人々の関係性からなる、動的で機能的な関係性コミュニティも意味します。したがって空間を共有する可視的なもののみではありません。
 コミュニティの一例には、

  • サークル活動
  • PTA
  • 労働組合
  • 自治会

 人の集まりがコミュニティたるには、集う人がコミュニティ感覚を持つことが必要です。

歴史

 コミュニティ心理学派、1960年代の米国において、地域精神保健活動を母体として誕生した心理学の分野です。米国ボストン近郊で1965年に開催されたボストン会議が、その歴史の幕開けといわれています。ボストン会議で地域保健センターに勤務する全米の心理学者たちが議論の内容には、地域社会のなかで心理学者が果たすべき役割や、そのために必要な訓練や教育のあり方があります。
 コミュニティ心理学の誕生の背景には、伝統的心理療法の意義に対する心理専門家自身の疑問があります。つまり、従来の相談室で来談者を待ち、対話を通じて心理的な手助けを行うアプローチの問題点あると考えたのです。
 その例としては、

  • 良くなるのは相談室の中だけであって、地域に戻ったら再発するのではないか?
  • 来談しない人々にアプローチする術がない

 が挙げられます。
 その後、コミュニティ心理学は主な実践領域を地域保健の領域から、社会の中で生じる心理的社会的問題の諸領域に拡大しました。
 日本では、1969年、日本心理学会で「コミュニティ心理学の諸問題」というシンポジウムが行われました。また、1998年には「コミュニティ心理学会」が設立されました。
 コミュニティ心理学の理論的基盤をもつ「臨床心理学的地域援助」は、日本臨床心理士認定協会が、臨床心理士の実践活動として定める三本柱の一つとして定められています。

コミュニティ心理学が行うことの一例

 コミュニティ心理学が行うことの一例には

  • 心の問題の発生予防
  • 心の支援
  • 社会的能力の向上
  • 生活環境の整備
  • 心に関する情報の提供

 などがあげられます。

心理学者の役目

 山本が提唱した心理社会的問題の解明とその解決に貢献するために、援助専門家に必要とされる役割は以下のものがあります。

  • 変革の促進者
  • コンサルタントの役割
  • 評価者の役割
  • システム・オーガナイザー
  • 参加的理論構成者

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