2002年まで精神分裂病と呼ばれていました。
精神病に分類される病気(疾患)の一つです。
思春期から30代にかけて発症することがとくに多い病気ですが、40代以降ではじめて発症する場合もある(遅発性の統合失調症)。
発症率は約120人に1人です。
根本原因はわかっていません。
統合失調症の症状
統合失調症の症状は陽性症状と陰性症状に分けられます。
陽性症状
通常者は経験されない特異な症状をさします。
主な症状の例として、
- 幻覚
- 幻聴
- 自我意識
- 作為行為(何かに操られている感覚):
- 思考吹入(外から考えや命令を吹き込まれること)
- 思考奪取(自分の考えが抜き取られると感じる)
などがあります。
陰性症状
通常あるべき機能が経過の中で失われていく症状です。
主な症状の例として、
- 感情の平板化(喜怒哀楽の欠如)
- 無気力、無関心によるひきこもり
- 思考の低下による口数の減少
があります。
シュナイダーの一級症状
K.シュナイダーの一級症状により、20世紀半ばに提唱された統合失調症の診断基準です。
患者の主観的な体験を重視し、詳細な観察に基づき統合失調症の症状を記述・分類・整理したものです。
その内容は以下のものです。
- 思考化声
- 自分を批判する幻聴が聞こえる
- その人の行動に対して意見や批判が聞こえる
- 身体に影響を与えられている体験
- 思考が打ち消される
- 他人の思考が押し付けられ、自分の思考に影響を受ける
- 思考流出
- 妄想的知覚
統合失調症の分類
統合失調症は症状によって、妄想型、解体型、緊張型に分類されます。
妄想型
- 20歳後半に発症することが多い
- 顕著な妄想や幻覚(とくに幻聴)を主な症状とする
- 会話や行動が解体してしまうことは少ない
- 感情の平板化もあまりみられない
- 比較的予後が良い
- 社会生活を維持できることが多い
解体型(破瓜型)
- 思春期(破瓜期)に緩やかに発症する
- 解体した会話や行動、感情の起伏の乏しさなどを主症状とする
- 妄想や幻覚は比較的少ない
- 比較的予後が悪い
- 社会生活の維持が難しいこともしばしばである
緊張型
- 20歳前後に急性に発症することが多い
- 極度の興奮と多動、混迷(意識障害)を繰り返すことがある
- 同じ姿勢を取り続ける
- 他者の言語を意味なく繰り返す(反響言語)
- 人からとらされた姿勢を保ち続ける(カタレプシー)
- 予後は比較的良い
- 再発が多い
統合失調症の進行
統合失調症は、その進行状態により、急性期、消耗期、回復期に分けられます。
急性期
症状が発症し、悪化する時期のことです。この時期の患者は幻覚や妄想に支配され、理性の力が低下しています。
消耗期
急性期の後に訪れる、心身ともに疲れ切った状態です。エネルギーが落ちて、心身の活動の鈍い時期です。
この時期は年単位に及びます。急性期の状態が長かった人は、消耗期も長くなる傾向があります。
回復期
消耗期を過ぎ、エネルギーが回復した状態です。