クライアントに対して最初に行われる面接のことです。
受理面接、初回面接ともいいます。
初回面接の進め方
導入部
まず自己紹介を行います。次に面接の目的や時間枠、守秘に関する説明し、クライエント自身に語ってもらいます。訊く内容の一例としては、困っていること、すなわち主訴、来談したきっかけがあります。
初回面接の後半
それまでに得た情報に補足した部分やクライエントからは語られなかった他の情報について質問します。
初回面接の最後
今後の心理的援助についてクライエントと話し合います。クライエントが何らかのメリットを感じて終えられるように配慮することが望まれます。「わかってもらえた」「この臨床心理士と一緒にやってみよう」と思ってもらうことが大切です。
協働関係の形成
心理的援助の成否はクライエントと協働関係が形成できたかに左右されます。そのような関係が築かれるためにはラポール(信頼関係)が必要です。クライエントと臨床心理士の間に情緒的な相互交流を生みます。クライエントが自身の思考や感情、問題にしたことついて十分に話せていると感じるには、臨床心理士は、まず正確な傾聴を行えるように訓練を積む必要があります。
正確な傾聴とは、明確化や感情の反射などの言語レベルでの技法のみで達成されるものではありません。他に必要なものには
- 非言語レベルのコミュニケーション
- 臨床心理士自身が抱く感情への気づき
- クライエント自身が語っている言葉を大切にしようという姿勢
などがあります。
クライエントが安心して初回面接の場に臨めるように事前の準備をしておくことも重要です。
その一例には、
- 面接室の環境
- 自身の整容
- クライエントの名前や申込時の情報などについて頭に入れておくこと
などがあります。
クライエントは大抵、大きな緊張や警戒感を伴って面接の場に現れるものです。
とくにクライエントが思春期の場合や、来談が自発的な動機でない場合に十分な説明が求められることには、
- 面接の目的
- 臨床心理士の役割
- 時間について
などがあります。
初回面接で収集する情報
初回面接では、何よりも協働関係の形成を重視します。同時に問題を維持し、発展させているメカニズムの定式化のプロセスが必要です。このプロセスを踏まえるには基本情報の収集を行う必要があります。
問題の緊急性を判断するための基本的な情報としては、
- 主訴
- 来談の経緯
- 現病歴
- 成育史
- 現在までの生活環境
- 過去の病歴
- 身体疾患
- 遺伝負因
- 物質乱用
- 生活特性
- 自殺企図
- 精神状態の検査
などがあります。
また、その他の重要な手がかりには、
- クライエントの表情
- 服装
- 声の調子
- 態度
などがあります。
情報に続いて、問題の背景について尋ねます。それにより、クライエントが直面している問題の核心はどこにあるのか見立てます。クライエントが自発的に語る主訴は、問題そのものではなく、問題の結果だったり一つの側面である場合が往々にしてあります。
問題の全貌を掴む為に訊いてみるべきことには、
- 問題が実際にどのように起きているのか
- 現在の生活環境
- 問題のきっかけとなった出来事
- クライエントがその問題にこれまでどのように対処したか
などがあります。
様々な情報を検討しながら、面接の最後に臨床心理士から問題に関する見立てや介入方針を提案します。しかし、初回面接で問題の全てを把握したり明確に介入方針を定めるのは困難な場合もあります。重要なのは心理的援助の構造が共有され、協働関係が形成されることです。
初回面接では、多くの情報を総合的・即自的に分析し、クライエントとの協働関係の形成が目指されます。
その為に必要な心理的援助にふさわしい態度と技術には、
- 心理的問題や精神医学に関する豊かな知識
- クライエントを含む面接の場全体に対する配慮
- 正確な傾聴
などがあります。