テストバッテリー (test battery)

 心理検査において、被験者を総合的に理解するために、いくつかの検査を組み合わせて行うことです。
 一般的に組み合わされるものは知能検査、質問紙法、投影法です。

被験者をより多面的重層的に把握する方法

 心理検査はそれぞれが特有の背景理論を持っておりその理論に基づいて人格を理解しようとするものです。そのため理論的観点からの理解は可能ですが、その一つを持って人格の全体を明らかにすることには無理があります。心理アセスメントを含め臨床現場などでは複数の検査を比較照合し、総合的判断を行う必要あります。
 E.S.シュナイドマンによれば、

  • 質問紙法は意識レベルの自我防衛水準に対応
  • TATや作業検査法は前意識の心理・社会的水準に対応
  • ロールシャッハ・テストは無意識の原初的水準に対応

 であるとされます。
 こうしたことを念頭において考えた上でのテストバッテリーを組むことの意義には、人格の異なった側面や意識水準へのアプローチが可能となることがあります。それにより多面的な理解に基づいた関わりが可能となります。
 テストの組合せに決まったやり方はありません。しかし、検査の実施者は払うべき注意には、

  • 検査対象や差や目的、検査実施にかかる時間などの物理的条件を考慮して決定する
  • むやみな検査を行うなど、被検査者の負担となるようなことは避けなければならない

 などがあります。

テストバッテリーで行う検査の選定での注意点

 以下のことを十分に考慮して、柔軟に選ぶ必要があります。

  • 被験者のその検査に対する習熟度
  • 被験者の精神的負担度
  • 検査を何に役立てようとするのか

検査後に考慮すること

 総合的に解釈できていれば、テストバッテリーの意義があるといえます。それぞれの検査がどうなったのかということだけでは駄目です。それぞれの検査には、どのような関係にあるのか、違いや矛盾はあるのか、それは何を意味するのかを吟味する必要があります。

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