ナラティブ・アプローチ (narrative approach)

 ナラティブ・アプローチとは、患者や相談者を理解する際に、彼らの主観を含めた全体性を重視するアプローチです。

 ナラティブとはストーリーや物語という意味を持つ言葉です。
 J.S.ブルーナーは心理学の研究において、人々が経験からに見出す「意味」の重要性を提起しました。そして「意味」をつくりだす源として「物語」を位置づけました。
 ここでいう「物語」とは、出来事にまとまりを持たせるための編集過程や、その過程で経た産物を指します。

臨床心理学とナラティブ・アプローチ

 物語をという考え方には多くの臨床心理学の実践家たちが多大な関心を寄せてきました。
 臨床心理学おいてのナラティブ・アプローチは諸理論にまたがり展開されています。
 ナラティブ・アプローチの中で、もっとも援助対象の物語を重視する実践はナラティブ・セラピーです。
 ナラティブ・セラピーとは、援助対象の自主性に任せて自由に記憶を語らせることによって、症状の除去や人生観の転換などの改善を図る心理療法です。
 また認知療法においてもナラティブ・アプローチの影響がみられます。O.F.ゴンサルベスらが提唱する認知物語療法では、人が出来事を自分の中でまとめ、そこから意味を見出す手段に物語があるとします。

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