基礎理論の概要

 臨床心理学においては、まずナラティブ・アプローチという手法が取られてきました。ナラティブ・アプローチとは患者や相談者を理解する際に、彼らの主観を含めた全体性を重視するアプローチです。
 しかし、主観的なものに重きを置きすぎると、客観性が損なわれ科学的な発展が妨げられてしまいます。
 そこで誕生したのがエビデンス・ベースド・アプローチという手法です。この手法は客観的な根拠(エビデンス)に基づいて援助を行おうとする立場です。
 ナラティブ・アプローチとエビデンス・ベースド・アプローチは、相反する立場です。しかし、この二つが相補的に働いてこそ、臨床心理学は真の対人援助活動を社会に提供できるといえる。
 また、患者へのアプローチ方法という点に着目すると、G.エンゲルが提唱した生物―心理―社会モデルは欠くことのできない存在である。このモデルは、人間は「生物的要因」「心理的要因」「社会的要因」からなり、それらを独立・分離させることはできないという考え方です。患者をケアする場合、これら3つの領域をすべて考慮する必要があります。

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