生物―心理―社会モデル (bio-psycho-social model)

 1977年、ロマンチェスター大学の精神科医であったG.エンゲルが提唱した患者へのアプローチ方法です。
 人間は「生物的要因」「心理的要因」「社会的要因」からなり、それぞれは影響し合あっています。そのため、それらを独立・分離させることはできず、全ての疾患は単独のものが原因とはなりえません。患者をケアする場合、これら3つの領域をすべて考慮する必要があります。

各側面を構成する要素・学問・実践者・介入方法

生物的要因

  • 要素:細胞や遺伝、神経など
  • 学問:神経生理学、薬理学、生化学、分子生物学など
  • 実践者:医師、看護師、理学療法士、薬剤師など
  • 介入方法:手術、訓練、薬物療法など

心理的要因

  • 要素:行動やストレス、信念や感情など
  • 学問:臨床心理学、認知心理学、社会心理学など
  • 実践者:臨床心理士など
  • 介入方法:心理教育、心理療法など

社会的要因

  • 要素:ソーシャルサポート、経済状況、ジェンダー、人種、雇用など
  • 学問:保健福祉学、社会福祉学など
  • 実践者:社会福祉士、精神福祉士など
  • 介入方法:社会復帰訓練、家族サポートなど

生物―心理―社会モデルで重要なこと

 このモデルで重要なことは、各分野の専門家が各自の得意分野に特化して援助を行うことではありません。生物・心理・社会という総合的な観点から人間を捉え、それぞれの側面がどう影響し合っているかを考慮しながら援助する必要があります。
 このような視点を持つことは、専門家同士が建設的な協力関係を結ぶことにもつながります。

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