神経症という言葉はスコットランドの医師W.カレンによって初めて提唱されました。
心理的が原因で生じる心身の機能障害の全般をさす言葉です。
神経症の特徴
心因性の障害である
一般に精神疾患は内因(遺伝的、体質的要因)、外因(感染、中毒など)、心因の3つにわけらます。神経症はこの内で心因によって生じます。
心因とは、心理的原因のことです。心理的原因には例えば、
- 急激な精神的ショック
- 持続的なストレス
- 心の内部の葛藤
- 対人関係の悩み
などが挙げられます。
機能的(非器質性)な障害である
つまり身体的には何ら異常がないのに、身体や行動に障害が生じます。
障害は心身両面にわたって現れる場合が多い
神経症は精神状態が悪化するだけではなく、身体的な症状を伴う場合が多いです。例えば、激しい不安は自律神経を介して心悸亢進などを引き起こします。また、神経症の一つである身体表現性障害では、四肢の麻痺や知覚障害が生じます。
特有のパーソナリティが認められる
神経症は、心理的原因と、それを受けとめる個人の心の在り方(パーソナリティ)が組み合わさって発症します。例えば、同じ強さのストレスを受けたとしても、神経症になる人とならない人がいます。それはストレスをその人がどのように受けとめるか、またはどれだけのストレスに耐えられるかによって神経症になるか否かが違ってくるからです。
特徴的な病像を示す
神経症の状態と、正常な心の状態の間に明確な区別をつけるのは難しいです。例えば、家の鍵を掛けたかどうか何度も確認したくなるなどは、いきすぎれば強迫性障害という神経症ですが、そういう心理は正常な心の状態の人が抱いても不思議はない心理状態です。
しかし、神経症の場合、そういった心理状態が過剰に表出します。つまり平均の範囲から逸脱しているのです。その意味では神経症は異常な状態といえます。
可逆性の障害である
神経症は身体的な障害や損傷から生じるものではありません。したがって、心理療法などを用いて治療すれば、元の正常な心理状態に戻ることは可能です。
神経症の治療
神経症と含む精神疾患では、治療者と患者の人間的な接触のあり方と暖かい信頼関係、深い情緒的な関わりが治療に大きな意味を持ちます。治療者が患者の苦悩を真摯に聞くだけでも症状が改善する場合もあるし、逆に治療者の不用意な言動が治療を困難にすることもありえます。
神経症の原因が、個人よりも環境にあるならば、周囲の環境に働きかけるのも一つの手です。その例として、家族や会社の上司に会って、家族関係や職場の人間関係を調整するなどがあります。
また、薬物療法が有効な場合も存在します。抗不安薬や過度の不安や緊張に効果がありますし、あるいは不眠には睡眠薬を処方するという手があります。