チックとは突発的、急速、反復性、非律動性、常同的な運動あるいは発声のことです。
発症年齢は2~13歳という人が大半を占め、発症頻度は小児期の10~24%であるといわれています。
チックの発症の原因は、脳内の神経伝達物質のトラブルであると考えられています。つまり育て方や家庭環境など後天的な要因が原因ではありません。
チックのタイプ
チックのタイプは、運動性チックと音声チックに分けられます。
運動性チック
体の一部にチックが生じるものです。顔、首、肩、胸、胴体、足など身体のどこでも起き、時には複数の部位がいっしょに動く場合もあります。
運動性チックの例には、
- 口の周りをなめる
- まばたき
- 顔をしかめる
- 肩をすくめる
- ジャンプする
- 片足をひきずる
- ものにさわる
- 口をあける
などがあります。
音声チック
発声にかかわる器官に関わるチックです。声や音を発する場合だけでなく、意味のある言葉を繰り返すこともあります。
音声チックの例には、
- 鼻をならす
- 下品な言葉を言う
- 奇声を発する
- 相手の言葉を繰り返す
- 自分で言った言葉を繰り返す
などがあります。
単純性と複雑性
チックには現れるものが、単純性のものと複雑性のものがあります。
単純性のチック
すばやい動きの典型的な運動性または音声チックです。まばたき、肩すくめ、奇声など一つの症状が現れます。
とくに目的は無さそうに見え、チックとわかりやすいのが特徴です。
複雑性のチック
体の複数の部位が同時にややゆっくりと動きます。表情を変える、ものを触るなど、何か目的がありそうな動作になったり、意味のある言葉を発したりします。
いっけん目的がありそうな行動や言葉なので、チックとはわかりにくのが特徴です。
チック障害の分類
チック障害は現れる数や続く期間によって、一過性チック障害、慢性チック障害、トゥレット症候群などに分類されます。
一過性チック障害
チック症状が1つ以上あり、4週間以上続き、1年以上は続かないものを指します。
慢性チック障害
チック症状が1年以上続くものを指します。
トゥレット障害
慢性チック障害の中で、特に重症なものです。複数の運動性チックに加え、音声チックも存在します。
チックへの対応と治療
チックかどうかの診断は小児科、精神神経科、児童精神科で行われます。
治療方針としては、生活に支障がないならば薬物療法は不要です。
薬物療法が必要な場合は、ドーパミンの働きを抑制する薬が処方されます。副作用に注意し親が薬を管理します。
心理療法を用いる場合は、行動療法を用いる場合が多いです。