注意欠陥多動性障害 (attention-deficit/hyperactivity disorder)

 不注意の問題と多動性・衝動性の問題の両方、あるいは片方を満たす発達障害です。
 病形には、

  • 両方を満たす混合型
  • 不注意優勢型
  • 多動性・衝動性優性型

 があります。
 同じような状態をICD-10では、多動性障害といいます。こちらは不注意と過活動がともに複数の場面で6カ月以上持続することが診断基準です。
 鑑別診断に用いることのできる審査はありません。したがって、行動観察によって基準を満たすか否か判断しなければなりません。

不注意の一例

  • 学業、仕事において細かく注意することができない
  • 課題や遊びにおいて注意することができない
  • 課題や活動において順序立てて考えることがしばしば困難
  • 課題や活動に必要なものをしばしばなくしてしまう
  • 外からの刺激によって、すぐに気が散ってしまう

多動性の一例

  • しばしば手足をそわそわと動かし、いすの上でもじもじする
  • 教室や、その他、座っていていることを要求される状況で席を離れる
  • 不適切な状況で、余計に走り回ったり高い所へ上がったりする

多動性の一例

しばしば質問が終わる前に出し抜けに答え始めてしまう
順番を待つことが困難である

AD/ADで困っている子どもへの対応

 学校でのAD/HDの行動上の特徴には、まず、集団規範に合致しない場合が多いことが挙げられます。そのため“社会的に望ましくない”と捉えられがちです。褒められる機会が少なく、叱られる機会が多くなりがちです。小学校低学年であっても、「うまくいっていない」ことや「みんなと同じようにはできない」ことには敏感です。それゆえ、AD/HDゆえに抱える「生き抜くさ」や「できなさ感」は、ときに大きく、自己評価を傷つけます。
 また、AD/HDの子どもを抱えた母親は、強いストレスを感じることが多いです。どんな母親であっても育児困難に陥りやすいといわれています。しかし、AD/HDの症状は周りの状況によって変わりやすいです。AD/HDの特性が肯定的に認められ生かされるような環境では症状も目立たなくなる困難に対して専門家と子ども取り巻く大人が協力して対応していくが重要です。

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