アメリカの心理学者で、J.ピアジェの弟子にあたります。
先行オーガナイザーを開発・研究し、教育心理学、認知科学、科学教育学習法の分野において貢献しました。
また、脱衛星化の概念を提唱しました。
アメリカの青年心理学おける位置づけ
アメリカにおける青年心理学はG.S.ホールによって始まったと言われ、1950年まで発達を続けました。
その結果として、主要なテキスト風の単行本だけでも膨大なものとなりました。しかし、しだいにグラフや調査統計の数字が並ぶ、味気ないものなり、学問的水準は低下する一方でした。
彼は生理・生物学的データから、文化人類学の知見まで、膨大な資料を駆使し、その上に理論を構築しました。これによりアメリカ心理学は初めて、ドイツ流の青年心理学に匹敵する理論青年心理学を得ることになったといわれます。
脱衛星化(脱腰巾着化)
子どもを親のまわりをめぐる衛星に例え、青年期は親からの独立を求め、親の重力圏から離脱しようとするという考え方です。L.S.ホリングワース心理的離乳に似た概念です。
しかし青年期は独立だけでなく、反対の依存傾向が強まる時期です。依存傾向が高まること再依存化と呼びます。この矛盾した欲求によって青年の自我は危機的な状況を呈しますが、やがてそれを克服することにより、自我の再構成化を可能とします。
社会的・文化的要因によって、独立が愛の喪失と結びつきやすいと社会と、比較的無関係な社会があります。
例えば、オースベルは、ナバホ族では子どもが親でなく近親者によって育てられるので脱衛星化はスムーズに行われる、という文化人類学的考察を引用しています。