中年期 (middle ages)

 中年期は、40歳前後から始まります。
 身体的、社会的、家庭的、心理的に変化の多い時期で、安定と不安定、若さと老い、獲得と喪失が共存する時期です。今まで積み重ねてきたものを問い直し、時には人生の危機に直面する時期でもあります。
 C.G.ユングは「人生の正午」と呼び、中年期を大きな変化が起きる時期としました。

中年期の特徴

職場において

 指導する役割に転換を求められます。これまで最前線で働いていた立場から、上司や管理職といった立場にかわります。人に教わる立場から、人を教える立場になるのです。
 仕事上の自分の能力や地位の限界も見えはじめ、青年期に抱いた希望と現実のはざまで揺れ動くこともあります。

家庭において

 子どもたちが思春期に入る時期です。子ども中心の生活から、子どもは子ども、親は親というように生活が変化します。
 子どもたちは友達などのつきあいから家庭のルールにさまざまな変更を求めてきます。
 また、老親の介護が必要になることもあります。
 それらの課題に柔軟に対応することで、父親、母親の役割も必然的に変化します。
 このように家庭の中のルールや役割が移り変わり、家族の中に揺れが起こっていきます。

身体面において

 体力に限界を感じたり、疲労回復に時間がかかったり、健康に関心が増すなどの変化が生じます。生活習慣病(高血圧、糖尿病など)が起こりやすくなるのもこの時期です。また、女性の場合は、閉経などの生理的な変化も大きく影響します。

心理面にはおいて

 社会的役割の変化、体力的な衰えなどから、今までのやり方ではどうもうまくいかないと感じ始めます。自分の生き方、あり方そのものについて、見直しを迫られる時期です。
「自分の人生はこれでよかったのか」「本当に自分のやりたいことは何なのか」ということを考えるようになります。

中年期の心理的援助

 岡本祐子が提示した「中年期の心理療法におけるアイデンティティの再体制化モデル」が有用であるとされます。中年期の心理療法におけるアイデンティティの再体制化モデルは以下の通りに進められます。
①危機の体験

  • 自己と生活構造の変化
  • 問題の顕在化(症状/不適応状態)
  • 自己の有限性の自覚(身体・寿命/家族/職業)

②ライフレビュウ

  • 成長期・青年期の未解決な発達的課題、若き日の「夢」、生きられなかった自分と、今の自分の比較

③軌道修正(アイデンティティの組み換え)
幼児期・青年期の葛藤の再吟味、自己と他者の関係の再吟味
自己内界での変容
行動レベルでの適応的変容
新しい適応的な自分の獲得

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