スピッツの後継者として乳幼児直接観察法を用いました。情動研究を推進し、精神分析的なアプローチとの統合をめざし、乳幼児の精神発達で成果を上げています。
エムディの発達研究の中心
彼の研究の中心は、「情緒的中核自己」と「情緒応答性」についてです。
乳児の発達を支える核となるものを「情緒的中核自己」と呼びます。人間がその心的連続性を保ち、人間同士が相手の情動を理解し、共感し合えるための基盤になります。その一方で、体験や出来事がその個人にとって持つ意味や行動の動機なども組織化し、独自性も司ります。このように情動中心自己は、人間としての普遍的な共通性、および独自性を持っています。
さらに、情緒的な自己の一貫した発達には喜び、驚き、興味など肯定的感情が必要です。社交性、探索、学習などが母親の肯定的な情緒応答性によって促進されることを明らかにしました。乳児が不確かな状況に遭遇したときに母親の情緒応答性を手がかりに自分の行動を決定する実験があります。これは母親参照機能と呼ばれます。エムディは母親参照機能がさらに社会参照機能へと発達していくとしました。
また、母親―養育者の乳児に対する情緒応答性を検索する方法として、I-FEEL Picturesが作成されました。これは、 満1歳の乳児の表情写真30枚からなるものです。