アナクシメネス(紀元前585年頃~528年頃)は、アナクシマンドロスの弟子で、ミレトス三大哲人の最後の一人です。
アナクシメネスは、アナクシマンドロスの発想を受け継ぎつつ、アルケーを具体的に捉える世界に引き戻そうとしました。
また、独自の宇宙観を展開したことでも知られています。アナクシメネスは、地球は丸いテーブルのようなもので、月と太陽は「色板」に類した円盤状のものであり、星は天球面に植えつけられた画鋲であると語ったと伝えられています。
プネウマ
アナクシメネスは、師の唱えた「アルケーは無限なものである」という考え方に一応賛同しつつも、アペイロンという抽象的概念を否定しました。そして、感覚的に経験できるものである「空気(プネウマ)」こそが、万物の根源であるアルケーだと主張しました。
なぜならば、空気には「水に対しての火」や「太陽に対しての月」のように対立物が見当たりません。また、それ自身で寒暖の対立を生み出せます。例えば、口をすぼめて息を吐く冷たくなり、開いて吐くと暖かく感じられます。
アナクシメネスは、この考えを発展させます。
空気を濃縮していけば、さらに風を生み、雲となり、水となり、ついには土を経て石をも生み出す。逆に、希薄にしていけば、最終的に空気から火が生じ、万物の生成で説明ができるとアナクシメネスは考えました。