カルネアデス

 カルネアデスは、古代ギリシアの哲学者でキュレネの人でした。彼は「カルネアデスの船板」という寓話を話した人物としても知られています。
 カルネアデスは、アテナイのアカデメイアで哲学を学びました。そしてアカデメイアの学頭となり、急進的な懐疑主義の立場からストア学派を攻撃しました。
 著作は現存しませんが、彼の教えは弟子のクレイトマコスなどによって伝えられています。

カルネアデスの船板

 カルネアデスの板とは、カルネアデスが話したといわれる寓話です。
 あるとき、舟が難破し、二人の人間が海に投げ出されてしまいます。そこに運良く船板が流れてきましたが、無理に二人がしがみつくと沈んでしまう大きさです。つまり、船板に捕まって救助を待てるのは一人だけです。このような状況で、己の生命を守るために、たとえ相手から船板を奪って自分一人だけが助かっても、罪に問われなかったといいます。
 カルネアデスの船板は現在でも、緊急避難の例として引用される寓話です。
 現代の日本の法律では、刑法第37条の「緊急避難」に該当すれば、この男は罪に問われません。ただし、その行為によって守られた法益と侵害された法益のバランスによっては、「過剰避難」と捉えられる場合もあります。

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