備給 (cathexis)

 カセクシスともよばれます。
 その基本的な意味は、心的エネルギーが、心の中にあるイメージや、外的な対象、身体の一部などに向けられ、そこに流れ込むことを指します。

特徴

 エネルギーが向けられる方向性によって、対象カセクシスとか、自我カセクシスなどとよばれます。この心的エネルギー概念は、実在的な概念ではなく、1つの暗喩として理解されます。
 日常的には、関心や注意を向け、情動的エネルギーを注ぐことを意味しています。
 関心や注意、情動的エネルギーを止めることは「脱備給」「カセクシスの撤収」などと呼ばれます。
 また、抑圧など自我防衛に用いられている心的エネルギーを「逆備給」とよぶこともあります。

言葉の語源・使用文脈について

 元々は、フロイトが使用したBesetzungという言葉をR.ストラッティが英訳した際に採用された造語でした。
 フロイトは、この言葉をさまざまな文脈において、少しずつ異なる意味で用いています。なので、一義的な定義は困難です。
 今日、フロイト派以外では用いることが少なくなってきています。

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