アサーション・トレーニング (assertion training)

 自己主張訓練法ともいわれます。
 主に古典的条件づけに基づく行動療法の手法です。対人恐怖症の人に、人前で主張する訓練を施し、緊張や不安の低減を図る手法です。

原理

 自己主張的であるときには、同時に臆病にはならないという、逆抑止の考え方が根幹にあります。

方法

 以前に不安を引き起こした状況で自己主張的行動がとれるように訓練し、不安に関連する反応を低減させることを目的とします。
 治療者と被治療者は、脅威を与える対人状況とそこでの適切な反応は何かを明確にする必要があります。
 最初は不安が引き起こされない状況から始め、段階的に緊張が高まる状況で患者が新しい行動を試みるように励ましていきます。これにより、被治療者は自己統制感を得たり充足感を得て自信が出るようになるのです。
 古典的条件づけだけに頼らず、心理劇やロール・プレイングなどで行動リハーサルを行うこともあります。

歴史

 アサーション・トレーニングは1950年代にアメリカで誕生しました。対人関係や対人場面での問題処理が苦手な人々に対しての援助プログラムが起源となります。対人スキルや社会的技能の獲得を目的にして行動療法家が開発しました。
 1970年代の公民権運動(人権拡張・差別撤廃の運動)を経てからは、「誰にでも自分を主張する権利がある」というヒューマニスティックな人間観と結びつきます。それにより人間関係促進のためのプログラムとして発展しました。
 日本には自己主張訓練として比較的早くに導入されました。しかし、他者の感情を尊重する日本文化とうまく折り合わずに一部の人が知るにとどまります。その後、平木典子がアサーションという言葉を「自己表現」と解したことにより、自分らしさを損なわずに表現することの重要性を打ちだします。
 日本版アサーション・トレーニングは自分も相手も大切にする相互尊重の精神に基づいたやりとりの促進を援助するためのプログラムです。
 現在では、社会教育、婦人教育、企業研修や教育相談の研修を中心にさまざまなところで活用されています。

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