エクスポージャー法 (exposure)

 曝露法ともいわれます。
 古典的条件づけに基づく行動療法の手法です。
 恐怖や不安の原因となる刺激・状況に、被治療者を段階的にさらして、不適応行動を消去します。

特徴

 PTSDや恐怖症などの不安障害に非常に強い治療効果を持っています。
 系統的脱感作法よりも簡単で、診察回数が少なくて済みます。
 以上のことから、不安障害の治療のファーストチョイスになることが多くなります。

方法

 エクスポージャー法は、以下のような三段階の手順で治療が進んでいきます。

一段階目

 被治療者を面接し、不安症状などを把握します。どのような刺激によって、どのような反応(不安症状)がおきているかという繋がりを丁寧に把握します。

二段階目

 不安階層表を作成します。被治療者が不安、恐怖、苦痛等を感じている場面をたくさん挙げリスト化し、そのリストの項目を不安・恐怖感が強い順に並べていきます。リストを不安・恐怖感順にまとめたものが不安階層表です。

三段階目

 作成した不安階層表をもとに、エクスポージャー(曝露)を行います。

2種類のエクスポージャーの種類

想像エクスポージャー

 主に面接室の中で行われる手法です。
 被治療者は、不安に感じる場面を、目を閉じて頭の中で想像し、声に出していきます。目的は、その不安感と向き合い、慣れていくことです。
 面接の録音を持ち帰り、自宅で想像エクスポージャーを継続することもあります。

現実エクスポージャー

 実際に恐怖や不安を感じる場面に出向いて行います。宿題として一人で行う場合もあれば、状況が許せば治療者が現場に同行する場合もあります。
 実施の際の注意点は以下の二つが挙げられます。
 一つ目は、被治療者の安全を確実に確保することです。例えば、自動車の運転に恐怖を抱く人が、治療場面で恐怖と向き合う為に運転していたとするとします。この場合、被治療者が運転中に恐怖からパニックを起こして事故を起こさないように細心の注意を払う必要があります。
 二つ目は、被治療者が不安・恐怖の対象から逃げ出さないように完全に退路を断つことです。エクスポージャーは短時間でやめてはいけません。不安が十分に下がるか、少しは下がったと自覚できるまで継続する必要があります。そうでなければ「やってみたけど、やはり怖いだけだった」という体験が繰り返されるだけになります。長時間不安と向き合う為、通常の心理療法の50分間の時間内に収まらない場合もあります。

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