行動療法とは、適切な行動を増やし、不適切な行動を減らすことを目的とした心理療法です。
学習と条件づけ
治療方法は、学習と条件づけに基づいています。行動療法における学習と行動という言葉は私たちが日常に使っている意味合いと少し違います。
学習とは経験に基づく行動の比較的永続的な変容をいいます。つまり、学校で行うような暗記や計算だけではありません。日常的な経験で身につく(身につけてしまう)行動の変化も学習となるのです。
行動とは表に現れる行為だけではありません。生体と環境の相互作用で生じる全ての反応を指します。つまり、「思考」「感情」などの表に出ない過程も、環境との相互作用で現れる場合には「行動」の中に含まれます。
行動の種類
人間の行動は大きく分けて以下の2つになります。
- レスポンデント行動:刺激が引き起こす行動です。例として熱いやかんに触れたときに思わず手を引っ込めるなどがあります。
- オペラント行動:特定の刺激の元で個人が意思的する行動です。例として道路を安全に横断するために手を挙げるなどがあります。
学習の種類
人間の学習は大きくわけて以下の3つになります。これらはそれぞれ「学習理論」と呼ばれます。
- 古典的条件づけ:レスポンデント行動を引き起こさせる学習です。
- オペラント条件づけ:オペラント行動を引き起こさせる学習です。
- モデリング(観察学習):実際にやっている人や、テレビや映画で行われていた行動をマネるものです。
行動療法の歴史
初期に行動療法を体系化した主な人物にはB.F.スキナー、J.ウォルピ、H.J.アインゼクの三人がいます。
行動療法について最初に定義したのはアインゼクで1959年のことです。
その時の定義は「学習理論に基づく実験によって基礎づけられたすべての行動変容法」でした。
そこから行動療法についての研究が進み、現在の定義では「行動科学から引き出された知識を系統的に利用して人間の問題の把握と変容に応用する技術の総体」となっています。