J.元々はウォルピによって「逆制止による心理療法」として独自に提唱されたものです。
古典的条件づけである逆抑止の考えを応用した心理療法の一つです。
不安を、両立しない反応である弛緩(リラックス)に置き換えることによって恐怖を除去する方法です。人間は、弛緩と不安というような相対するものを同時に抱くことはできないという原理に則っています。
原因が複雑であったり、曖昧である神経性症状(高所恐怖や対人恐怖など)に効果的です。
方法
系統的脱感作法は3つの段階に分かれます。
第1段階
意識的に伸縮できる筋肉の緊張と弛緩の反復訓練を実施し、筋肉の深い弛緩状態をつくれるようにします。
第2段階
現実生活での不適応反応を起こす場面を面接で明らかにします。そして、自覚的に不適応の強度を配列した「不安階層表」を作成します。
第3段階
十分弛緩した状態で、もっとも弱い不安場面をイメージします。不安がない(弛緩が可能)ならば次の段階へ移り、最終的にはもっとも強い不安場面まで段階的にイメージをステップアップさせます。もっとも強い不安場面で弛緩が乱れないようにすることが目標となります。その後、治療者と共に、呼吸法や催眠などで、弛緩と緊張の感覚を識別することを学習します。
系統的脱感作法の発展
系統的脱感作法の特徴は、柔軟な応用が可能という点です。ここから、エクスポージャーの研究が発展しました。不安を弛緩で解消させる方法は、症状が主に対人緊張のあるクライエントに有効な方法です。これは現在の、自己主張訓練法や、ソーシャル・スキル・トレーニングの基となっています。
しかし系統的脱感作法は、非常に手間がかかることが欠点です。また、効果について詳しく研究した結果、提示時間を長くすれば、不安の弱い状況を扱う必要がなく、筋肉の弛緩などの使用も必要がないことがわかっています。それにより、現在では標準的な手続きでは用いられることは少ないようです。