共同体感覚 (social interest)

 共同体感覚とは、アドラー心理学における鍵となる概念です。
 個人が他者を仲間であると信じ、その他者との関わり合いの中に居場所があると信じられる感覚をいいます。
 共同体感覚を持つことにより人は他者貢献が可能となります。逆に共同体感覚が未熟な人は、自分の利益だけしか考えられず他者とは利用するだけの対象であると考えるようになってしまいます。その結果、共同体感覚を持たない人物は安心できる居場所を見つけられずかえって不幸な人生を送りやすくなります。

共同体感覚とライフスタイル

 個人のライフスタイルは、世界で生きていくために作り上げられた個人の物語と言えます。
 もし個人に共同体感覚があるならば、その個人は人々に貢献するようなライフスタイルを持ちます。
 逆に共同体感覚がないならば、個人は自分のことだけに関心を示してしまいます。そのようなライフスタイルは非建設的と言えます。

共同体感覚に関するアドラーの考え

 A.アドラーが第二の重要な生得な人間の欲動に違いないと考えていた概念です。ちなみに、第一のものは意義へ向かう努力です。
 共同体感覚は過剰な欲求を抑える反対方向の欲動として概念化されました。
 しかし年月を経て、アドラーは概念を修正しました。生得的欲動とは見なさず、一つの能力もしくは素質と見なすようになりました。
 アドラーは、共同体感覚を同一化や共感にたとえました。アドラーは「相手の目で見、相手の耳で聞き、相手の心で感じることだ」と言っています。それは私たちが共同体の最善の目標のため、あるいは、最も広い意味では人類全体のために努力する助けとして用いられます。それは最も肯定的な視点では、自分自身の善と人類の善を求める能力を導き、自己発達を促すことを意味します。

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