劣等コンプレックスとは、自己肯定感の不足や疑い、確信の持てなさ、そして自分が劣った人間であるという感情を意味します。
A.アドラーが提唱しました。
劣等コンプレックスを持つ人間は、ライフタスクへの対処を避けることに劣等感を使います。
このプロセスは個人にも集団にも起きます。ひとたび劣者とされると、それは強められる方向にどんどん働きます。一方で、自尊心を回復する補償行動も強くなります。
劣等コンプレックスにより個人の能力を引き出すモチベーションが生まれる場合もあれば、逆に社会的に好ましくない行動の要因にもなりえます。前者はいわゆる「コンプレックスをバネにして成長した」と呼ばれる状態のことです。
劣等感
劣等感とは、その人が主観的に自分は劣っていると感じることです。自分は他人より劣っているという感情をいいます。人格は発達あるいは変容のための契機をつくる役割を果たします。
アドラーは、人間は劣等感を克服するために上に向かおうとすると考えました。そのため「権力への意志」に動かされ、各人の性格はそのような個人の課題を巡って形成されるとされます。
アドラー心理学各派における劣等感の扱い方はまちまちで、人格理論や治療方法を特徴づけています。しかし、これを明確にして受容を促進することに治療的価値をおく点で共通しています。
劣等感の分類
古典的なアドラー心理学では一次的な劣等感と二次的な劣等感を区別します。
一次的な劣等感は、幼少期において最初に体験した自らが弱く無力な存在であると思い知らされる体験に根ざしています。それは大人や兄弟などとの比較によって生じます。
一方で、二次的な劣等感は、大人になってから抱く劣等感です。
劣等コンプレックスに陥りやすい人
劣等感が個人の失敗や勇気がくじかれることにより強調されることにより劣等コンプレックスが生じます。
以下のような人々が劣等コンプレックスを強めるリスクを負います。
- 自尊心が低い
- 社会経済的な地位が低い
- うつ病の発症歴がある
- 子供時代に両親に避難されていた
- 子供時代に両親の期待に応えられなかった
ただし、劣等コンプレックスがきっかけで成長できる人もいるため、劣等コンプレックスそのものが害であるとは言い切れません。劣等コンプレックスに圧倒されて個人の発達が阻害された場合に病的な状態に陥るのです。