ウェクスラー法 (Wechsler-Bellvue Scale)

 1939年にD.ウェクスラーによって開発された新しい知能観と新しい知能指数による知能検査の総称です。

種類

 成人用のWAIS,学齢期用のWISC,幼児用のWPPSIという3種類があります。それぞれ邦訳第3版のWAIS-Ⅲ、WISC-Ⅲ、邦訳初版のWPPSIが利用されています。

長所

  • 適用範囲が児童から老人までと広い

 ⇒WPPSI(3歳10ヶ月~7歳1ヶ月)
 ⇒WISC-R(6歳~16歳11ヶ月)
 ⇒WISC-Ⅲ(6歳~16歳11ヶ月)
 ⇒WAIS-R(16歳~74歳)
 ⇒WAIS-Ⅲ(16歳~89歳)

  • 同一年齢集団中での個人の知能水準の位置がわかり、偏差IQが算出できる。
  • 年齢群別評価ではなく、加齢や頭部外傷などによる知的機能の低下を見る場合には基底年齢群(20~34歳)との平均値のズレから評価できる。(基底年齢群評価)
  • IQを言語性IQ(VIQ)、動作性IQ(PIQ)、全検査IQとに分けて算出することができる。さらにWISC-Ⅲ、WAIS-Ⅲでは因子分析から得られた4つの群指数を算出可能。

 4つの群指数には、言語理解、知覚統合、注意記憶、処理速度があります。これらの指標をまとめてグラフにしたプロフィールを用います。これにより、個人の知的能力の特徴を理解しやすく示すことができます。

短所

  • 高い信頼性に比べ妥当性についての研究が不十分
  • 実施時間が長い
  • IQ45以下は測定不能になるなど、重度知的障害者には適応範囲が限られる

ディスクレパンシー

 VIQとPIQの差、あるいは4つの群指数間の差です。あまりにも大きい場合(15程度)は発達障害を疑ったり、特別な支援を検討します。

減退率

 老人を対象として実施する場合、以下の式で知能の減退率をみることができます。
 [減退指数]=(A-B)÷A×100の式で求められます。Aは加齢によっても保ち続けられる持久機能を指します。その項目には、単語、一般的知識、絵画完成、組合せがあります。Bは加齢により保ち続けることができない減退機能です。その項目には、数唱、類似、符合、積木があります。
 減退指数が15以上であると知的な減退があるとされます。

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