ピタゴラス

 ピタゴラスは、「サモスの賢人」、「クロトンの哲学者」とも呼ばれた古代ギリシアの哲学者です。彼の数学や輪廻転生についての思想はプラトンにも大きな影響を与えました。
 ミレトスに近いエーゲ海のサモス島の生まれです。タレスの元で学び、エジプトに留学した後に南イタリアに移住しました。
 輪廻転生を信じるディオスオルペウス教に影響を受けて宗教集団であるピタゴラス教団を設立しました。彼は、数の秩序に着目し、数学的思考で自然の原理を理解しようとした人物としても知られています。三平方の定理、無理数の定義、正五角形の作図など数学者としての発見も数多くあります。

ピタゴラス教団

 ピタゴラスは、ピタゴラス教団という宗教集団の創始者です。その目標は魂の浄化にありました。
 そのための方法に着目すると、ピタゴラスの思想の独自性が見られます。ピタゴラス教団の教義によると、万物はもろもろの数とそれらの数の成り立つ比例関係をモデルとして出来上がっているとされています。
 例えば、月の満ち欠けや星の運行は、一定の規則に従っています。また、音階の秩序や調和も規則性を持っています。こうした規則は数的比例関係に基づいて説明できます。このことから、万物は数相互の様々な関係によって生み出されているのだとピタゴラスは主張しました。
 彼の教団では、数学と音楽と天文学がとりわけ重要なものとされました。

万物は数である

 これはアリストテレスがピタゴラス派の主張を解釈して述べた言葉です。アリストテレスは「ピタタゴラス派にとって万物の根源であるアルケーとは数であった」ということを主張しようとしたのだと考えられます。
 ピタゴラスとっては、数はそれが万物の本性を規定しているという意味で、アルケーにあたるものなのです。
 例えば、一はすべての起点となり、二は線分で一次元を作ります。また、三は面で二次元(三角形を構成する)を、四は立体で三次元(三角錐を構成する)を生み出します。このように、数の進行がそのまま物事の生成過程にもなっているわけです。

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