ピュロン

 ピュロンは古代ギリシャの哲学者で、エリスの出身者だった人物です。古代の最初の懐疑論者として知られています。アイネシデモスによって紀元前1世紀に創始されたピュロン主義(懐古主義)の起源とされています。
 ピュロンはもともと画家であり、彼の絵はエリスの学校に保存されていたそうです。しかし、後にデモクリトスの著作によって哲学の道へと導かれ、ブリソンやスティルポンによってメガラ派の弁論術に習熟するようになりました。
 彼はアレクサンドロス大王の大遠征に随行して、インドやペルシアの思想にも触れたとされています。

判断中止(エポケー)

 判断中止(エポケー)とは、ピュロンが説いた「判断を留保すること」という哲学的な立場です。もし真理が到達不可能なものだったり、到達しにくいものだったりするなら、判断を急ぎすぎると誤った結論に至りかねません。そうならないためにも、一旦は判断を保留するのです。
 更に言えば、この世の一切が不確実です。善についても悪についても、正しい見解を持てないから、それによる魂の苦悩が生じます。だから、無断定(アパシア)による心の平安(アタラクシア)を求めるべきだとピュロンは説きました。

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