意識的態度である外向と内向は、C.G.ユングによって提唱されました。
外向とは、ユングの定義によればリビドーが外へ向かうことを意味します。リビドーとは、心のエネルギーのことを指します。主体が客体(出来事や他人)に関係していること、すなわち主体の関心が積極的に客体に向けられている状態を表します。
内向とはリビドーが内に向かうことです。これは主体が客体に対して消極的であることを表しています。つまり、関心が客体へ向かわずに、客体から主体へ引き戻されるのです。
外向について
外向的な人の特徴の例として、以下のものなどが挙げられます。
- 外的な出来事に出会ったとき自信をもってすぐに反応する
- 自分の世界より、外の世界に関心が向かう
- どんな環境・状況にも、積極的に参加する
- 外の世界に依存しているとも言えるので、独りで人生の充足を中々得られない
外向的な人は客体との関連において考え、感じ、行為します。
外向的になるように意図的に意欲される状態を能動的外向と呼びます。逆に、客体が外向的になるように迫っているとき、すなわち場合によっては主体の意図に反してでも客体の方から主体の関心を引き付ける時には受動的外向と呼びます。
内向について
内向的な人の特徴の例として、以下のものなどが挙げられます。
- 外的な出来事に出会ったとき拒否するように身構える
- 外の世界より、自分の世界に関心が向かう
- 外の世界に、自分を合わせようとは考えない
- 自分に自信を持てば、少々のトラブルや他人の批判にはたじろがない
内向的な構えを持っている人は誰でも考え、感じ、行動する際に主体によって動機づけられます。なので、客体はせいぜい副次的な価値しかもたないという態度をとります。
内向が能動的であるのは主体が客体を何らかの形で排除しようと意図するときです。逆に、受動的であるのは客体から逆流してくるリビドーを再び客体に戻せないときです。
2つの態度の相互関係
この2つは完全な形では存在せず、普通はこれら両方の態度をともに持ち合わせています。大体はどちらかの態度が習慣的に現れ、片方はその陰に隠れている場合が多いです。
またつねにどちらか一方でしかないとは限りません。どちらかに偏ると無意識がそれを補償する動きが出てきます。すなわち、意識の態度が一般に外(内)向的な人は、その無意識の態度が内(外)向的となります。
また、意識の態度の一面性があまりに強いときは、無意識の態度は、ときに意識の制御を破って病的な性格をもって出現することがあります。このような観点から、ユングは外向型の人の神経症にヒステリーが、内向型の人に神経衰弱症が多く見られると説明しています。