ペルソナ (persona)

 ギリシアの古典劇の仮面を意味するペルソナが由来です。
 個人の外界とのかかわりにおいて形成する一定の態度を表します。つまり個人は、人間が社会を生きる上で必要な「男らしさ」「女らしさ」「社会人らしさ」といった役割(ペルソナ)を身につけているのです。
 ペルソナが元型が否かは諸説ありますが、ここでは元型として取り扱います。

ペルソナとアニマやアニムス

 ペルソナが外的適応に関する一方、心の内部への適応に関する元型にアニマやアニムスがあります。このペルソナとアニマやアニムスはお互いを補う形ではたらいています。
 例えば、男性の場合、そのペルソナは「男らしさ」が期待され、その人の外への態度としては力強く論理的でなければなりません。しかし一方、その人の内的態度はこれを補う形で現れます。つまり、外への態度が「男らしく」あろうとする人の内面は弱々しく非論理的であるというのです。外的態度として逆に「女らしさ」を求められる女性の内面が力強く、理路整然としている場合もありえます。
 このように外から期待されたり、望まれたりする外的態度(ペルソナ)から排斥された面がアニマ・アニムスとなるのです。

ペルソナは元型か?

 ユングは、ペルソナが元型であるか否かについては、明記しませんでした。しかし、同一概念と紹介しているものも少なくありません。
 ペルソナを元型として紹介している著作として、

  • 河合隼雄の『ユング心理学入門』
  • 鈴木晶の『フロイトからユングへ』

 などがあります。
 同時に、ペルソナは元型ではないとする立場も存在します。その代表には林道義の説が挙げられます。その理由は、ユングは人類の集合的な心(例えば、社会的慣習や伝統的な精紳)から各人が切り取ったものを(個性化された人格=仮面)をペルソナと名づけたからだというものです。つまり、ペルソナは集合的無意識そのものを指すわけではないという解釈をしたわけです。

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