アニマ (Anima)

 C.G.ユングの提唱した概念で、元型の一つです。
 男性の心に無意識に潜む女性のイメージを意味します。
 もともとは「風」「呼吸」「魂」「心」「生命」などを表すラテン語で、この男性形がアニムスです。
 男性は対外的には、男性らしい態度(ペルソナ)を要求されます。しかし、内面の魂は女性的であり、外面の態度のバランスを取ろうとすると考えられます。

アニマの4つの段階

 アニマには4つの段階があり、以下の順にアニマは成熟していくとされます。

第1段階・肉体的なアニマ

 内面よりも肉体を求める傾向があります。男にとって肉欲を満足させられるならどんな女性でも構わないというレベルのアニマです。欲求を満たすことが目的となるので、当然のように女性の人間性を求めません。

第2段階・ロマンティックなアニマ

 純粋で燃えるような恋愛を求める傾向があります。このレベルのアニマは、純粋で優しい女性に例えられます。古典的なおとぎ話のお姫様のイメージです。

第3段階・霊的なアニマ

 神聖にして清浄、それでいて親しみ易さもあります。無償の愛、無限の慈悲、そういったイメージを提供するアニマです。乙女の清らかさと母親の温かさが共存している反面、男の肉欲のような肉体的意義は切り捨てられます。

第4段階・知的なアニマ

 神聖にして清浄ですが、近づき難い神々しさと智恵を持ちます。このアニマは女性的といっても、もはや人間のレベルではありません。老若男女すべての人間を堤正しい道へ導いてくれる、神の領域に至った女性を示すアニマです。

アニマの統合

 以上の四段階を経た後に、アニマは一つの機能として自我を、その心の真の中心としての自己に関係付ける働きするのだとユングはいいます。
 しかし、実際の場合、アニマを意識内に統合していく試みは、ある意味で男性の弱さの開発を強いるものとなります。強がりを言っていた男性が、恋愛においては弱くなったり、愚かになったりするなどのように、アニマは男性にその弱さについて経験を通じて教えます。このような弱さを経験することによって、男性は他者と真の関係を結ぶことができるようになります。というのも、強い男性的な態度を取り、相手を支配したり命令したりするだけでは、他者と深く対等な交わりを結ぶことはできないからです。
 だたし、アニマと対決し統合することは、アニマと同一化することとは違います。アニマとの同一化が行われると、その男性はいわゆる女々しい男となったり、むやみに感情的になったりします。

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