感覚 (sensation)

 感覚(感覚機能)とは、C.G.ユングが提唱したタイプ論における4つの心的機能のうちの一つです。
 ユングは感覚を「物理的な刺激を知覚に伝える心的機能である」と述べています。
 感覚は、対象物の実際の姿形を掴み取る機能です。客観的に現実判断を行います。
 感覚は外向的か内向的かによって外向的感覚型と内向的感覚型に分かれます。
外向的感覚型は、外の世界(現実)をただそのままに受け入れます。出来事に対して意味を考えたり価値を見出すことはあまりありません。内向的感覚型は、現実に接したとき、現実の姿をそのまま受け入れるのではなく、現実に加えて受け入れた自分の内面を含めて外の世界にあるものを解釈します。

外向的感覚型

 外向的な構えにおいて感覚は主として客体(他人や出来事)に依存します。これは当然のことで、感覚は五感による知覚なので客体から影響を受けるのは当たり前のことかもしれません。ところがユングは、感覚は客体のみならず、主体にも依存しているといいます。それゆえの性質が客観的感覚とはまったく異なる主観的感覚も存在するというのです。
 外向的感覚型の人は、前者の客体から得られる感覚を受け取るのが得意な人と言えます。外向的感覚型の人の場合、感覚を刺激するのは五感によって知覚できる具体的な客体です。しかも、往々にして誰もがいつでもどこでも具体的であると感じられるであろうもの(例えば目の前の光景や、流れてくる音、料理の味など)に限られます。

内向的感覚型

 内向的感覚型において、感覚は主観的要因に依存します。内向的感覚型の人が感覚によって得た客体に関する情報には主観的な感性が混じります。内向的感覚型の人において感覚は主として知覚の主観的な部分に基礎を置いているのです。
 外向的感覚型と内向的感覚型の違いは「写真」と「絵画」の違いに例えることができます。写真は現実にあるものをそのまま投影したものです。外向的感覚型の人は、世界をまさに写真のように正確に捉えます。一方で絵画は現実ありかたに加え描き手の主観が混じります。内向的感覚型の人は、世界を現実プラス自分の主観を含めて知覚しているのです。

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