知能指数 (intelligence quotient :IQ)

 知能検査を実施した後の成績によって知能の程度を表すのに用いられる表示法の1つです。
 普通IQと略称されます。

歴史

 知能の測定は、A.ビネーがTh.シモンとともに作成した知能評定尺度の作成に始まります。彼らが精神遅滞児に対する特殊教育を行うため考案した評定です。「生活年齢」に対して「精神年齢」がどの程度遅れていくかという考えにもとづいて評定します。
 その後、L.M.ターマンが「知能指数」を算出する公式IQ=MA/CA×100を定式化しました。この方法は、精神年齢が生活年齢に対応した発達を遂げた場合、知能指数が100となることを前提とします。100からの隔たりによって知能の優劣をとらえようとするものでした。知能指数125以上が優秀な知能であり、75以下が劣った知能とされました。

留意点

 統計的に「妥当性」や「信頼性」が確認されたとしても、「知能とは何か」という構成概念の妥当性は、社会構造の変化や個人の適応様式の変化に応じて問い直される必要があります。

比率IQと偏差IQ

比率IQ

 ビネー式の検査などで採用されてきたものです。このタイプの場合、検査の課題が年齢ごとに並べられています。
[比率IQ]=[精神年齢(MA)]÷[生活年齢(CA)]×100の式で求められます。
 精神年齢は、検査成績が何歳何カ月に該当するかの指標です。
 生活年齢は、実年齢のことです。
 標準的な年齢相当の発達をしているという知能水準は100です。値が100以上であれば普通よりも優れているとされ、100より以下であれば劣っていることを示しています。
 比較IQの不合理さがあるため、知能指数よりも知能偏差値や偏差知能指数が用いられるようになりました。不合理さの例には、知能指数は年齢によって分布が異なる、知能発達は直線的ではない(年齢を基準とする事が無意味となる)があります。

偏差IQ

 ウェクスラー式の検査などで採用されています。同じくらいの年齢の大勢の人に検査を実施した際の得点分布を想定します。その分布のなかでどのあたりにいるかを示す指標です。
 偏差知能指数=([個人の検査得点]-[母集団の平均値] )×15÷母集団の標準偏差+100の式で求められます。
 分布としては、偏差IQは平均=100であり、標準偏差=15となり、理論上は85~115の間に約67%、70~130の間に約95%の人が収まることになります。
 現在では、知能指数という場合この値を指すことが多いです。これをもとに精神遅滞から知的優秀までの評定が行われます。

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