心理学用語での態度という言葉は、日常的に使われる意味合いとは少し違った使われ方をします。
心理学でいう態度とは、ある対象に対して個人が反応や行動を決めるための精神的な準備状態のことをいいます。
態度は外部からは観察できません。そのため、実際の行動については態度とは呼びません。態度はあくまで、対象への好みや評価に基づく心理的な状態や傾向のことをいうのです。
態度を構成する3つの成分
行動を促す「態度」は以下の3つの成分から構成されているとされています。
認知的成分
認知的成分とは、ある意見に賛成か反対かなど、態度を示す対象に関する評価などを指します。
例えば「平和なのは良いことである」などの意見を持っている状態がそれにあたります。
感情的成分
感情的成分とは、好きか嫌いかや、嬉しいか悲しいかなどの情動的な成分のことをいいます。
例えば「争いが起きるのは悲しいことだ」などの感情を抱くことがそれにあたります。
行動的成分
行動的成分とは、何かの出来事に対して行動したいと考えているなどのように態度対象に対しての行動傾向のことをいいます。
例えば「誰かが喧嘩をしていたら、揉め事に割って入って止める性分である」ということがそれにあたります。
態度の機能
態度は以下のような機能を持っていると心理学者カッツは提唱しました。
知識機能
何かを判断したり、行動したりするときに瞬時に判断・行動をするためのベースになります。
適応機能
置かれた状況に馴染むよう判断・行動ができるようになります。
他者に同調したりする態度により、社会適応を促すなどが例と挙げられます。
自我防衛機能
自我とは自分の意識の中心にあるとされる心の部分です。
自我は非常に不安定で、他者から否定されるなどすると簡単にゆらぎ自己嫌悪に陥るなどします。
自我防衛機能としての態度は、他者を貶める評価をすることで「自分は正しい」と自分に言い聞かせ自我が脅かされないようにするなどが例として挙げられます。
価値表出機能
態度を基にした言動により、他者に自分のことを理解してもらいやすくします。
合理的行動理論
ある行動は以下のことによって実行するか否かが決定されるとされています。
- 行動に関する態度:行動がもたらす結果への見込みと価値判断
- 主観的規範:重要な他者からの期待とそれに応えたいと思うか否か
これが合理的行動理論です。この2つが噛み合って人は初めて行動を起こします。
例えば、ダイエットをしたいと思っている人がいたとします。この人は「行動に関する態度」と「主観的規範」が噛み合って初めてダイエットのために運動や食事制限をします。
ダイエットに関する「行動に関する態度」には例えば、「減量してスリムになれば異性を振り向かせることができるはず」という考えなどがあります。
一方で「主観的規範」には、「意中の人がスリムな人の方が好み」という意見を聞いてそれに応えたいと思うなどの心理があります。
この2つが噛み合って初めて人は行動意図を形成しダイエットを開始するのです。