社会心理学とは?

 社会心理学とは、社会的な環境の中で個人や集団がどのような行動をしたり、認知をするかを調べる心理学の分野です。
 社会心理学では、集団心理や文化、社会的行動などを扱います。
 会社、学校、地域、家庭など人間は様々な社会集団に属しています。したがって、社会心理学は、他のどの分野の心理学よりも実用的な心理学ともいえます。

心理学的社会心理学と社会学的社会心理学

 社会心理学は大まかに分類して、以下の二つがあります。

心理学的社会心理学

 心理学的社会心理学とは、社会の中で個人の心理や個人間で生じる相互作用を、実験や観察などを通して解明しようとする社会心理学の流れです。

社会学的社会心理学

 社会学的社会心理学とは、社会的条件の差に焦点を当てて社会の中で個人の心理や個人間で生じる相互作用を考えていく社会心理学の流れです。

社会心理学の歴史

 社会の中での人間の意識や行動についての考察は古代ギリシアの時代から、哲学・宗教的な観点から思索されてきました。
 しかし、そうした背景のもので社会的存在としての人間を科学的に扱う社会心理学が生まれたのは19世紀後半のヨーロッパであるとされています。
 社会心理学の始まりは、言語や神話、習慣などの行動を分析する民族心理学などです。民族精神や群衆などのマクロな視点で社会的存在として人間が科学として扱われ始めました。
 ヨーロッパで生まれていた社会心理学はその後、アメリカにおいて現代につながる基礎が作られ、1908年に「社会心理学」という名のついた概説書がつくられます。
 その後は社会心理学の体系化が進み、客観的に観測しうる行動を扱う行動主義の影響を受け、実験室に被験者を集めて行う実験室実験が主流になっていきます。
 第二次大戦後には社会心理学は理論的な広がりを見せます。中でも大きな影響を与えたのは認知心理学です。認知社会心理学研究は、現代にわたり一大勢力となっていきます。社会的な現象を情報処理のモデルとして説明できるようになり、認知的不協和理論などの様々な理論が誕生しました。
 しかし、1970年を前後して、社会心理学のあり方について以下のような批判が上がりました。

  • 知見が断片的
  • 問題解決の役に立たない

 これを受けて、様々な立場から社会的存在としての人間を考え直そうとする動きと共に、進化心理学などの新たな領域ともつながり始めました。

社会心理学の研究対象のレベル

 社会心理学は以下のレベルの単位を研究対象としています。

個人レベル

 個人の行動や、それを生み出す態度などを焦点にあてた研究です。

対人レベル

 相手に行為を抱くしくみや、他者をどのように認識するかに関する研究です。

集団レベル

 学校や職場、家庭など顔見知りの集まり中で、人間はどのような行動をするかについての研究です。

群衆レベル

 社会の中で特に顔見知りでもなく、同じ集団に属していない人間同士がどのような行動をするかについての研究です。環境破壊や商品の買い占めといった社会現象・社会問題と心理の関係を研究します。

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