説得とは、他者の態度を特定の方向へ変化させるために行われるコミュニケーション活動のことをいいます。
例えば、同じメッセージで説得されても誰が言うのかによって説得力は変わってきます。とある健康食品の効能について販売会社のセールスマンが「これは素晴らしい食品です」と言うのと、会社と無関係な大学の教授が「これは素晴らしい食品です」と言うのでは信憑性が違います。
一般に信憑性とは以下の要素で構成されています。
- 専門性:対象への深い知見を持っているか否か
- 信頼性:嘘偽りない態度を取れる人物や立場であるか否か
一面的メッセージと両面的メッセージ
一面的メッセージとは、相手を説得する場合に態度を変えたときのメリットだけを伝えることをいいます。
一方で両面的メッセージとは、相手を説得する場合に態度を変えたときのメリットとデメリット両方を伝えることをいいます。
説得する相手が対象の内容をよく知らない場合は一面的メッセージが有効です。
逆に受け手が内容をよく知らない場合には、両面的メッセージが有効となります。
心理的リアクタンス
心理的リアクタンスとは、他者から説得を受けたときなどに、自由を脅かすと感じ、反発などして自由の回復を目指す心の状態のことをいいます。
恐怖喚起アピール
恐怖喚起アピールとは、ネガティブな情報を相手に伝えることにより不安や恐怖を煽り行動を変えようとする方法のことをいいます。例えば「喫煙を続けるとガンになるぞ」などがこれにあたります。
恐怖喚起アピールの効果を高めるには以下の条件があるとされています。
- 相手がその危険を不快と感じる
- 自分がその危険が降りかかる可能性を感じる
- 回避できるかもしれない信じられる
- 自分は回避行動を取れると信じられる
精緻化見込みモデル(ELM)
精緻化見込みモデルとは、説得メッセージの内容を受け手がどのくらい事細かに吟味できるかによって、説得のされ方が異なるとし、その過程をモデル化したものをいいます。
ELMというのは「Elaboration Likelihood Model」の略です。
説得メッセージの内容を吟味する動機と能力がある人間は、メッセージを分析的に精査します。根拠に納得すれば説得され、持続的で安定した変化を起こせます。
逆に、説得メッセージの内容を吟味する動機と能力がない人間は、メッセージの周辺的な手がかりを使って判断します。例えば、「大学教授が言っているから正しいのだろう」や「聞いた感じ魅力的だ」などがこれにあたります。この場合、周辺的な情報に流されているだけなので、比較的に説得に対する変化は不安定です。