集団的浅慮

 集団的浅慮とは、集団の意識決定の場において、メンバーの個人的決定よりも劣る決定がなされる傾向のことをいいます。
 集団的浅慮は集団思考とも呼ばれます。
 集団的浅慮は、集団の凝縮性が高く、外部からの情報が得られない状況で起こりやすいとされています。

集団的浅慮が起きやすい条件

 心理学者I.ジャニスは1961年の米軍によるキューバ・ビッグス湾侵攻作戦の失敗の経緯を分析し、当時の大統領であったケネディとその周辺アドバイザーを集団ととらえ、彼らが失敗に陥った意思決定の過程から集団的浅慮の兆候と結果を系統化しました。
 集団的浅慮は以下の場合に生じやすくなります。
・他の選択肢を十分に検討していない
・目標を十分に検討、吟味していない
・情報収集が乏しい
・手持ちの情報から都合のいいものだけを取り上げて分析する
・一度却下された代替案は再考されない
・選んだ選択肢が抱えるリスクやコストを検討しない
・非常事態を想定しない(仮に想定しても対応策を考えない)
 また、ジャニスは凝縮性が高く、反対意見を表明しにくい集団ほど集団的浅慮が起きやすいとしています。

集団的浅慮が起きやすい兆候

 集団的浅慮が起きる場合、集団内に以下の兆候か現れると言います。
・自分たちは絶対に大丈夫と言う幻想
・集団固有の行動規範や倫理に対する過剰な信念
・外部からの警告を軽視する
・外集団への偏見や軽視
・疑問を口にすることへの自己検閲(自粛)
・見せかけの満場一致
・反対意見への圧力
・集団の合意を覆す情報からの自己防衛

集団的浅慮への対策

 集団的浅慮を避ける対策として挙げられているものに悪魔の擁護者というものがあります。
 悪魔の擁護者とは、集団の合意が得られた時点で、メンバーから選ばれた人が、間違っていることを承知でわざと反対意見を述べるという手法です。
 これにより、他のメンバーも遠慮することなく意見を言えるようになり、集団の意見を多角的に批判、再検討する機会が生まれるとされます。

心理的拘泥現象

 心理的拘泥現象とは、その決定が間違っていたことがわかっても、合議に関与したプライドや投入した労力を無駄にしたくないために、メンバーが合議内容を正当化していくことに執着することを言います。

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