集団意思決定とは、複数人でいくつかの選択肢の中から答えを導く出すことを意味します。
集団意思決定の研究の基本は合議による意思決定は個人で行う場合よりも優れた結論になるのか否かにあります。
人が話し合いで結論を決めるという行為
人が話し合いで結論を決める場合、前提として「人は複数人で考えて決めた方が好ましい」と考える傾向があります。これには以下の理由があると人々が思っているからです。
・全員の意見を反映した民主的な判断ができる
・創造的な問題解決ができる
・より的確な判断ができる
しかし、話し合いの進め方によっては以上の項目が達成できない場合もあります。
集団意思決定は民主的な決定になるか?
まず、集団意思決定が必ずしも民主的な議論になるとは限りません。
合議の進め方によって決定を操作することが実験により確認されています。
さらに、合議が2段階で行われた場合にも民主的な意見にはなりづらくなります。これは最初は下位集団で合議し、代表者がその結論を持って第2段階の全体会議に進むなどのケースです。この場合は、少数者の意見なのに特定の下位集団で多数派を占めた場合、少数者の意見が会議全体では実際の勢力以上に強い影響力を持つこともあります。
以上のことが生じた場合、集団意思決定は民意を反映できなくなってしまいます。
集団意思決定は創造的な問題解決になるか?
人は集団状況で考える場合には、他者とのコミュニケーションに労力を割かれます。これをプロセス・ロスといいます。これにより、一人一人の創造性が失速します。
プロセス・ロスの解決策として、オズボーンは他者の発言に対しての批判や否定を禁止して自由に発言させるという手法を提唱しました。この手法はブレーン・ストーミングといいます。これにより合議で創造的なアイデアが生まれやすくなると考えたのです。
しかし、ブレーン・ストーミングの長所が実際に機能するとは限りません。その原因としては、何か良いアイデアを思いついても発言の順番が回ってくるまではそれ以上アイデアを展開できなくなる現象が指摘されています。この現象はアイデア産出のブロッキングと呼ばれます。また、他者の努力をアテにして自分はそれに相乗りするだけのフリーダイダー効果も懸念されます。
集団意思決定は個人の判断より的確か?
集団意思決定が、個人の判断より的確になるとは限りません。
人が集団で意思決定する場合、集団極化や集団的浅慮が生じる場合があります。