社会的アイデンティティとは、自らが何者であるかを所属している集団や組織を基準に認識することをいいます。
逆に、集団や組織に依存せずに、個人の来歴や性格を基準に自らが何者なのかを認識することは個人的アイデンティティと呼ばれます。
社会的アイデンティティとカテゴリー化
タジフェルらは社会的アイデンティティの中で、社会的アイデンティティはまず、カテゴリー化(分類化)から始まるとしています。
カテゴリー化とは、自分を取り巻く環境や集団についてを「日本人」「アメリカ人」という国籍や、「A大学」「B大学」といった学籍などでまとめることをいいます。
そして、一つにくくられたメンバー同士の似ているところと、他の集団の違いに注意を向けていきます。このような認知は社会的カテゴリー化と呼ばれます。
ただし、社会的カテゴリー化は単純な構造ではありません。基本的には階層構造を持っています。
例えば、「自分は東京都民である」という社会的アイデンティティを持っていたとします。しかし、この場合更に広い範囲で考えていけば「自分は日本人である」ということもできます。もっと範囲を広げれば「自分はアジア人である」ともいえます。また、同じ東京都民であっても、年齢や性別の違いは当然にありえます。
このように、自分が所属するカテゴリーはいくつもの階層構造を持っています。そして、自分と他者を位置づけるのに効率的なカテゴリー化は状況によって変化します。
社会的アイデンティティの変化
社会的アイデンティティには、自分が属する集団のメンバーであることそのものを評価したい気持ちも含まれます。人間、誰しも自分の所属する集団は高い評価を得ていて欲しいと思うものなのです。
しかし、自らが属する集団が自分に都合のいい集団とは限りません。
このような場合には以下のような行動を人間はとります。
社会移動
社会移動とは、所属している集団をより優位な集団に変更することです。例えば、転職などがこれにあたります。
社会変動
社会変動とは、自分の集団と他の集団の差がなくなるように行動することです。
社会的創造性の反応
社会的創造性の反応とは、自分の集団よりももっと悲惨な状況に置かれている集団もあると考えるなどして、認知や評価の枠組み自体を変えてしまうことをいいます。