分配原理とは、集団が遂行した課題に対して報酬がもたらされる場合に、均等か、それぞれの必要度に応じて差をつけるかなど、メンバー間の報酬を分配する方法を定義したものをいいます。
公正とは?
集団で働いて得た報酬を分配する場合に、自分の取り分が少ないと感じた場合に人は不公平感を抱きます。場合によっては、それが原因で集団が分裂したり、次から不公平感を抱いた人物が怠けたりすることもありえます。そのため、公正に報酬を分配する必要があるといえます。
基本的な分配原理は次の3つです。
衡平原理
報酬獲得への貢献度に応じて報酬が決まる分配方法。この場合、業績に応じて報酬が決まる成果給です。
平等原理
全員に均等配分することをいいます。
能力など関係なく、一定額が支給される給与体系がこれに近いです。
必要原理
個々のメンバーがその報酬を必要としている程度に応じて分配する方法です。
平衡理論。
アダムスは、人は自分のコスト投入と報酬の比率が他者と等しいと感じた時に、公正さを感じると論じました。これを平衡理論といいます。
これは社会的公正を考える上での基礎となります。しかし現実には公正感をもたらすのは平衡原理だけとは限りません。
状況によっては、他の原理も正当な根拠を持つ場合もあります。
メンバーが納得できる分配原理
ドイッチは、経済的生産を目的とした集団ならば、メンバー同士に競争関係が生まれるので衡平原理がメンバーの納得いくものになりやすいとしました。
一方で、快適な社会生活を目指す協同関係を重視するならば平等原理がメインになります。また、家族関係ならば、資源を必要とするメンバーに多く与える必要原理がメインとなります。
流動性と分配原理
狩野素朗は、集団の特性による違いも分配原理に関して指摘しています。
メンバーが短い間に入れ替わるような流動性が高い集団ならば、高い業績を残した者は平衡原理を望み、低い業績の者は平等原理を望む傾向があります。
逆に、メンバーがあまり入れ替わらない集団であれば、高い業績の者でも平等原理を望む傾向が強いことをつきとめました。この理由は、このような場合では人は公正さよりも人間関係を円満にすることが重視されるからだと考えられます。