自我心理学 (ego psychology)

 A.フロイトによって創始された精神分析の一学派です。もしくはS.フロイトの展開した心的構造論に基づく精神分析を指します。

代表的な研究者

A.フロイト:自我の防衛機制を整理・分類

H.ハルトマン:自我の適応機能を重視

E.H.エリクソン:心理―社会的発達段階を仮定

自我心理学の特徴

 自我の防衛のメカニズムを重視した後期のS.フロイトの理論を発展させ生まれた自我心理学は、現在に至る精神分析の主流派であるといえます。
 S.フロイトは、自我はイド、超自我、そして外界からの力を調整しながら自らを守っていると考えました。娘のA.フロイトはその理論を更に整理・発展させました。
 ハルトマンは自我には無意識に影響されずに、環境に対して適応したり、自我エネルギーを統合していく自律的機能があると考えました。つまり、自我はS.フロイトが考えたよりも無意識の影響を受けにくい自律した存在であり、積極的に人格を統制し、環境適応能力を持っていると考えたのです。自我心理学では、リビドーではなく、自我が自ら引き起こす過程に注目します。
 これにより、イドにある無意識の内容に時間をかけなくても、自我の強さや適応能力に焦点を絞ることで治療が短期間で済むようになりました。
 自我心理学では、自我が弱い人、つまり、心が病んでいる人は、自我を強くし、適応能力を高めることが治療となります。

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