臨床心理士とは「財団法人日本臨床心理士資格認定協会」の審査で認定された、有資格者のことをいいます。心理臨床分野におけるある一定の知識と経験を持った専門家を意味しています。
臨床心理士の主な仕事は大きくわけて、臨床心理査定、カウンセリングの実施、地域援助、調査研究活動、の4つがあります。
臨床心理査定
これはアセスメントとも呼ばれます。臨床心理査定では、クライエント(つまり相談者)に会ってどのような状況かを把握・各種の心理検査をします。その上で、どのような援助が一番適切かを検討します。
カウンセリングの実施
臨床心理査定を元に、行うべき心理療法を決めていきます。
心理療法には例えば以下のものなどがあります。
- 精神分析療法
- 来談者中心療法
- 行動療法
これらを単独で使う場合もありますし、組み合わせて使うこともあります。
どのような場合であれ、クライエントと目標を立てることで心理療法がスタートします。
地域援助
コンサルテーションとも呼ばれます。コンサルテーションとは、クライエントやその人物と関係が深い相手に臨床心理の専門的な知識を教授することをいいます。
クライエントの心理的な問題を解決するために、地域や周辺の集団に働きかけることが必要な場合に地域援助を行います。
調査研究活動
補助的な活動です。臨床心理活動を行う上での技術や知識をより確実なものにするために調査研究をします。
臨床心理士資格を取るには
臨床心理士資格をとるには、どのような方法があるのかは以下の通りです。
臨床心理士資格を取るには、「財団法人日本臨床心理士資格認定協会」(以下、「資格認定協会」と呼びます)の資格審査に合格する必要があります。
しかし、誰にでも、資格審査の受験資格があるわけではありません。受験資格を得るためには、図にあるような基準に該当し、かつ、これらに関する必要証明資料を提出できる必要があります。
一つ目の方法
資格認定協会が許可する第1種指定大学院を修了する方法です。
二つ目の方法
資格認定協会が許可する第2種指定大学院を修了し、修了後1年以上の心理臨床経験を積む方法です。ここで言う、心理臨床経験の基準は、教育相談機関、病院などの医療施設、心理相談機関などで心理臨床に関する従業員として、心理相談員やカウンセラーなどとしての勤務経験を指します。この心理臨床経験とは有給を原則としているので、ボランティアや研修員などは認められません。また、大学、大学院修士課程の在籍中の経験はこれに該当しません。
三つ目の方法
臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了する方法です。この専門職大学院修了者は、資格試験のうち、一次試験として行われる筆記試験のうち、小論文試験が免除されることになっています。
四つ目の方法
諸外国で今まで述べたものと同等以上の教育を受けており、かつ、2年以上の臨床心理経験を積む方法です。
五つ目の方法
医師免許取得者で、取得後に2年以上の心理臨床経験を積む方法があります。
認定試験合格後
ただし、以上述べた方法で受験資格を取得し、認定試験に合格しても、それで終わりではありません。
臨床心理士資格は、5年ごとに資格を更新する必要があります。資格の更新制の目的は、資格取得者の専門的資質を社会的に保証するためです。協会主催の研修会への参加や論文の公刊などでポイントを取得し、15ポイントの評価を前提に、この資格更新が実施されます。