臨床心理士の職域における教育領域とは、主に学校などの教育機関のことをいいます。
学校では、いろいろな事情で登校が難しかったり、集団行動に困難のある生徒がいます。そのような生徒やその保護者の心理相談に応じていきます。
スクールカウンセラー
教育領域で活動する臨床心理士で、最もメジャーなのはスクールカウンセラーだと思われます。
スクールカウンセラーの業務には以下のものなどがあります。
- 児童・生徒へのカウンセリング
- 教職員・保護者・学校関係者への助言
- 学校全体のカウンセリング
- 諸問題への取り組みのあり方に対する調査研究
以上を見てわかるようにスクールカウンセラーの仕事は生徒の支援だけではありません。
学校現場や生徒のことを一番よく知る教師の生徒指導を支援、よりよい学校づくりのために学校関係者への生徒指導や相談活動の活性化を働きかけることも重要な仕事です。
教育領域の特徴
学校領域での臨床心理活動の特徴の一つに、多種多様な人々と関わるというものがあります。
例えば、一人の生徒が不登校や非行などを起こしたとしても、その原因がその生徒だけにあるとは限りません。家庭環境が原因となっている場合には保護者に話を聞いてみる必要がありますし、クラスの雰囲気に悪いというならば担任教師に問題解決を働きかける必要があります。
また問題の原因は一つに絞ることができず、生徒と教員、教員と保護者、保護者と生徒などの関係性の中で複雑化している場合もあります。
学級、教師集団、PTA組織などの多方面について考察し、援助を実行していく必要があります。
学校臨床での注意点
教育現場で臨床心理活動を行う場合は、その教育現場のルールに従うのが原則となります。教員側との連携を密にするためには、「報告」「連絡」「相談」を心がける必要があります。
しかし、臨床心理士が学校組織に埋没してしまうと客観的な判断やできなくあるリスクもあります。学校組織の一員であっても、自らが学校外の心理専門職であるという意識を持つのは重要です。
また、教育領域での援助は(特に児童・生徒が対象の場合)、援助できる期間が限られています。小学校ならば最大で6年間、中学高校では3年間しか援助はできないのです。限られた期間の中で可能なことと不可能なことを考え、生産的な援助を行う必要があります。
教育領域における業務
教育領域の臨床心理士の特徴として業務の幅が広いことが挙げられます。
例えば、学生相談の他にも以下のような業務があります。
- 連携活動(校内や外部)
- 広報活動
- 教員研修活動
- 学校の相談機能を高める(スクールカウンセラーの場合)
- 教育行政の立場から児童生徒の実態調査(教育センターや教育研究所の場合)
以上のことを実現するためには以下のようなことについての知識が必要となります。
- コミュニティ心理学の知識
- 啓蒙活動の手法
- 教育行政
- 学校教育法
- 公立学校であれば公務員法
働いている場所
教育領域に携わる臨床心理士が働いている場所には以下のものなどがあります。
- 公立教育相談機関
- 教育委員会
- 幼稚園
- 小学校
- 中学校
- 高等学校
- 予備校(職名はスクールカウンセラーや教育相談員など)