福祉とは「しあわせ」を意味する言葉です。
福祉領域で活動する臨床心理士は人々のしあわせに貢献するために例えば以下のような問題に対してのアプローチを行います。
- 生活上の貧困の支援
- 病気や障害の支援
- こじれた人間関係解決の支援
福祉領域で働く臨床心理士の活動
福祉領域で働く臨床心理士は以下のような場所などで働いています。
- 児童相談所
- 児童福祉施設
- 療育施設
ここで働く臨床心理士は、一部の民間施設の職員や嘱託職員を除けば、大半は以下のように呼ばれる公務員です。
- 心理判定員
- 指導員
彼らの活動の対象となるのは、乳児や児童、身体障害者、知的障害者などの社会的弱者やその家族です。
この領域での仕事は、主に心理検査を用いたアセスメントですが、必要に応じて心理療法も行います。
働いている場所
福祉領域に関わる臨床心理士が働いている場所には以下のものがあります。
児童関連
- 児童相談所
- 市町村子育て支援担当課
- さまざまな児童福祉施設
障害関連
- 身体・知的障害施設
- 療育施設
- 発達障害支援施設
女性関係
- 女性相談センター
- DV相談支援センター
- 婦人保護施設
- 母子生活支援施設
老人福祉施設
- 特別養護老人ホーム
- 養護老人ホーム
児童相談所の業務
児童相談所は、0歳から18歳になるまでの子どもに関するあらゆる相談を受ける臨床機関です。
児童相談所は行政機関です。そのため、一般の相談室や心理クリニックとは以下の点が異なります。
子どもを育てる側の課題に対しても改善を目指した業務を行う
理由があり子どもを家庭で育てることができなくなったがどうすればいいかなどの相談も受け付けています。
児童相談所側から相談を求めることができる
一般の臨床機関での相談は相談者が機関を訪れることにより始まります。しかし、児童相談所では児童福祉法第25条によって、要保護児童に関する通告を受け、相談を開始することがあります。
行政処分を行える
行政処分とは、行政庁の一方的な意思によって行う処分です。この処分には公法上の法律効果が生じます。
児童相談所は行政機関であるため、行政処分を行うことができます。
児童相談所が行う行政処分には以下のものがあります。
- 被虐待児の一時保護
- 緊急に保護が必要な子どもの保護
- 児童福祉施設入所や里親委託の準備の一環の保護
- 社会的擁護(児童福祉施設や里親への子どもの措置)
児童心理司の業務
児童心理司の中心的な業務には、相談や通告のあった子どもへのアセスメントがあります。
アセスメントの内容には心理テストや面接、行動観察などがあります。その所見などをもとに相談されたことがらの改善案や児童福祉的見地から指導案を出します。
心理アセスメントを実施したあとは、当該の子どもや保護者に対して必要な助言や指導を行います。また、当該の子どもの関係者にも配慮を願い出ることもあります。