内向的思考型 (introverted thinking)

 C.G.ユングが「タイプ論」で提唱した4つの心的機能の一つである思考機能のうちの、内向的な態度を指します。

このタイプの人の特徴

 内向的思考型の人は、新しい事実についての知識よりは、新しい「見解」を見いだすことを得意とします。
 あまり現実的なことには関心が行かず、あくまで自分独自の理論や方法、思想を打ちたてようとします。現実の動きに左右されることなく、抽象的な問題を解明しようとします。また、自分の信念に関しては絶対的といって良いほどの確信を持っています。
 ユングは、内向的思考型の代表としてカントをあげ、外向的思考型のダーウィンと対照しています。
 ごく親しい、よく理解してくれるひとに対しては、その考えの深さは尊敬の的となり、強い感化を及ぼすことにもなりますが、一般には、このような人は良い教師にはなりがたいです。そもそも、人に教えることそのものに興味をもっていない場合が多いからです。

反対のタイプ(外向的感情型)を抑圧しすぎた場合

 内向的思考型の人は度を超すにつれて信念はますます頑固で強情になります。未知のものからの影響は排除され、対人的にも近しくない人には行為を示すことがなくなります。その代わりにごく近しい人にはますます依存するようになっていきます。
 しかし、その愛情表現はまるでトンチンカンです。これは何故かというと、内向的思考型の人にとって反対のタイプである外向的感情型の振る舞いは不得手だからです。外向的感情型の特徴として、バランスのよい人付き合いが可能というのがあります。よって、それが不得手である内向的思考型の人はバランスを欠いたり、節度を越えた人付き合いをしようとします。
 内向思考型の人が独りよがりになると、その人の理念は深まりますが、手持ちの材料ではもはや十分にそれを表せなくなります。この材料不足の結果として、その人は情緒不安定で傷つきやすくなります。
 あるいは、主観的な(独りよがりの)理論による自己防衛が過度になると、いかなる批判に対しても(たとえ正しい批判であっても)個人的な憎悪の念を込めて反応するようになります。こうなってしまうと、最初は理念が生産的であった場合でもその人の考え方は破壊的になります。というのはその理念が憤怒といった個人的感情に念に毒されてしまうからです。
 外部に対して孤立するにつれて、無意識が彼を麻痺させるようになり、無意識の影響力との戦いが増大します。
 より孤独になろうとする傾向が強まるのは本来は無意識的な影響力から身を守るためです。しかし一般的には内向的思考型の人が病的になると、葛藤がより深くなり自らを消耗させることになります。

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