感情 (feeling)

 感情(感情機能)とは、C.G.ユングが提唱したタイプ論における4つの心的機能のうちの一つです。
 ユングは感情を「与えられた内容について、これを受け入れるか斥けるか、一定の価値を付加する機能である」と述べています。
 思考が概念的な繋がりを求めているのに対して、感情は「好き」「嫌い」あるいは「快」「不快」などで物事を判別します。つまり対象の好感度を掴み取る機能なのです。
 感情は外向的か内向的かによって外向的感情型と内向的感情型に分かれます。外向的感情型は、外の世界で大多数の人が好むものを見出し、追い求めます。内向的感情型は、独自の感情体系を持っていて、客観的要因よりは主体的要因に従います。

外向的感情型

 外向的な構えにおける感情は客観的な既成事実に従って判断を下します。すなわち他人や出来事が感情のあり方を決める要因になっているのです。
 つまりこのタイプの人は空気を読むのが上手いのです。外向的感情型の人の感情は客観的価値と一致しています。要するに周りの人が「良い」というものに関しては「良い」と判断し、「悪い」というものには「悪い」という判断を下します。
 別にこれは偽ったり嘘をついているわけではありません。一種の順応行為であり、その場にふさわしい感情判断をしているだけです。例えばある絵画を美しいという時も、有名な画家のサインの入った絵画は一般に「美しい」はずであるから「美しい」と判断します。また、その絵を「嫌い」というと幸せな気分になっている持ち主の感情を損なうかもしれないという配慮のもと「嫌い」とは言わないのかもしれません。
 この感情の働きによってなされる評価は客観的価値にそのまま合致しているか、少なくとも何らかの伝統的普遍的な価値基準に合致しています。

内向的感情型

 内向的感情型の人は主として主観的要因によって物事の「好き」「嫌い」などを決定します。
 この感情は主として主観的な前提条件に支配されています。客体との関わりは二の次になります。そのため、これが人前に姿を見せることは稀であり、現れる時は必ずと言っていいほど誤解されます。
 内向的感情型の人の態度は、客体の価値を否定しているように見え、そのためほとんどの場合が否定的なものとして受け取られます。つまり、内向的感情型の人は好意を表すのが苦手なのです。
 内向的感情型の人が求めているのは内的な充実感です。それに対して客体はせいぜい刺激を与えるものでしかありません。この感情の深さはそれとなく感じ取れるだけで、明確に把握することはできません。なぜなら内向的感情型の人は、自分の感情を表だって表現しようとはあまりしないからです。

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