体験過程理論 (theory of experiencing)

 E.T.ジェンドリンが提唱しました。
 心理療法における人格変化に注目したパーソナリティ理論で、現象学哲学を背景にもっています。
 来談者中心療法から発展した体験的心理療法の根幹となる理論です。
 来談者中心療法とフォーカシングの関係については、両者は別個の体系であるという見解と、フォーカシングは来談者中心療法の本質であるとする見解の2通りあります。ですが、ここでは、来談者中心療法の一部に分類されるものとして扱います。

理論の内容

 体験過程理論は、人の心の中に感じられ、刻一刻と変化し流動していく体験過程に関する理論です。
 心理療法は人格変化をめざすものです。しかし、従来の諸理論は、人格を環境にかかわらずその性質を保持するものとして定義づけてきました。つまり、変化が期待されるときにも変化しない傾向が人格だと考えてきたのです。それはフロイトやサリヴァンの理論に明瞭にみられました。ロジャースの理論でも未解決のまま残されています。
 これに対して体験過程理論は、人格変化を説明する人格理論です。体験過程が言語によって表現され、概念化が行われることで、人格変化が生じると考えます。体験過程理論では、個人がいかに体験するかという体験様式が重視されます。体験が過程として進行し変容していけるかどうかに注目します。

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