クライエント中心療法、非指示的療法ともよばれます。
C.R.アメリカの心理療法家ロジャースにより1940年代はじめに提唱された人間性療法です。
来談者の成長する力に重点がおかれ、セラピストの受容的態度(非指示的な態度)が強調されます。
ロジャースの理論の特徴
ロジャースの理論の特徴は、人間の成長可能性に最大の信頼をおいた点にあります。すなわち「各個人は自分自身に関する最大の専門家であり、人間は自分自身の問題を解決する能力を持つ」とロジャースは考えたのです。
来談者中心療法とそれ以前の心理療法の比較
来談者中心療法より以前の心理療法である精神分析療法や行動療法は、クライエントに対して一方的に指示、解釈などを与える指示的関係といえます。症状の原因や症状そのものを重視するあまり、人間としてのクライエントとの関係性を軽視する傾向があります。
一方、来談者中心療法は人間の成長の可能性を重視します。セラピストの適切な態度がクライエントの有する自己実現を促進すると考えます。よって、探るような質問をしたり、精神分析的な解釈を与えたり、行動計画を提唱することはありません。クライエントとの横の関係を重視します。
来談者中心療法では、
- セラピストの自己一致
- 無条件の肯定的配慮
- 共感的理解
態度的3条件が強調されます。
ロジャースが使った言葉
ロジャースは「セラピストというよりも「促進者(ファシリテイター)」という呼び方を好みました。それと共に、問題に取り組む人々を「患者」ではなく、「クライエント」と呼びました。これはロジャースが、情緒的な困難を、治療されるべき病気の兆候とは考えなかったためです。