観察法 (observation)

 対象となる人や行動を、自然な状況や統制された状況のもとで観察する方法です。

分類方法

 観察法の分類は、観察場面による違い、観察形態による違い、サンプリングによる違い、記録方法による違いなどで分類されます。
 観察場面で分類すると、自然観察法と実験観察法に大別されます。さらに自然観察法は偶然的観察、組織的観察に分けられます。
 観察形態で分類すると、参加観察法と非参加観察法に大別されます。参加観察法は、交流的面接、面接観察、非交流的観察に分けられます。一方で非参加観察法は直接観察と間接観察に分けられます。
 サンプリングで分類した場合、時間見本法、場面見本法、事象見本法、日誌法に分けられます。
 記録方法で分類した場合、行動描写法、行動目録法、評価尺度法に分けられます。

特徴

 個人が与えられた環境の中で実際にどのように振舞うのか査定するには、もっとも適切な方法です。
 得られるデータによって検証することができることには、

  • 治療や介入の対象なる問題がどのようなもので、どの程度生じているか
  • 原因となる変数やその問題を維持する要因は何か
  • 介入した結果はどうか

 などがあります。

長所と短所

 P.スターミーを参考にした、観察法と他のアセスメントと比較での長所と短所は以下の通りです。

長所

 行動の質・量さまざまなデータから事実をきちんと把握することができることです。
 把握できる行動に関するデータには、

  • 生起率
  • 持続時間
  • 強度
  • 連続性

 があります。
 また、行動を対象とするため、乳児や障害児・高齢者・長期の精神障害をもつ人々などにも適応できます。これらの人々は質問紙法や面接法が適応できないが多いです。
 さらに、象者への拘束が少なく、日常生活の自然な行動を対象にできるのも長所の一つです。

短所

 客観的なデータを得るには、さまざまな配慮や訓練が必要となることです。プライベートな行動や内的経験には触れられない、ある文脈で得られた結果が他の場合に当てはまるかなど観察できる側面に限界があります。

観察法の留意点

 観察法において信頼性と妥当性を確保するには、細やかな配慮が必要です。観察法における信頼性とは、観察の正確さのことです。
 高い信頼性を確保するには

  • 行動の定義を明確にする
  • 観察者の観察や記録を訓練する
  • 視聴覚機器を利用する

 などが必要です。
 観察法における妥当性とは、査定しようとしている対象を実際に査定しているかということです。
 妥当性を確保するには、事前に十分に概念的検討を行う必要があります。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする