ある特定の個人を日常的な行動の流れの中で観察・記録する方法です。
日常場面において近い関係にある親が自分(自分の子ども)を、あるいは保育者が子どもたちを観察します。それを育児日誌や保育日誌に記録する方法です。
長期にわたって記録される日誌法は、個人の全体的な理解を目的とする個性記述的研究に適しています。
フィールドワークにおいて用いられる観察とフィールドノーツへの記録も、日誌法に含まれます。
日誌法の研究
日記法による代表的な研究に、やまだ(1987)や麻生(1992)の研究があります。
この研究では、共に自子が観察の対象となりました。とくに何かの事象や場面、時間を限定することはしなかったので、新鮮で驚きを伴った状況での行動(日誌法の場合は、これがサンプリングになる)を観察・記録できました。ただし、観察記録は膨大な量となり、麻生の場合は生後1年間でB5サイズのノート1726ページにのぼったといいます。
長所と短所
長所
行動や人格特性の縦断的発達を理解できる、多様な行動を十分に描くことができるなどあります。それにより発達や変化の仮説がもたらされます。
短所
一般性に欠けることが短所です。育児日誌の場合、多くは高学歴の、子どもに関心を持つ大人によって書かれており、一般の人を必ずしも代表していない場合が多いです。
また、観察者は訓練されていない場合が多いので、観察のかたよりが生じやすいです。また特に、育児日誌の場合、対象が自分の子であるため主観的なかたよりが生じます。
更にたいへん時間を要することも短所の一つです。